予算組み替えの動議を説明 「市民の理解得られない」と予算原案に反対討論
2008,03,20, Thursday
3月19日、川崎市議会は本会議最終日に、予算案の採決などを行いました。日本共産党は、市古映美副団長が一般会計予算等の組み替えを求める動議を説明。宮原春夫市議が代表討論を行いました。
採決では一般議案40件中33件、当初予算22件中12件、他追加議案などに賛成し、「平成20年度川崎市一般会計予算」案などに反対しました。請願では全7件に賛成しました。
また共産党が呼びかけた「正規雇用を増やす施策の充実を求める意見書」など意見書6件が採択されました。
共産党が一般会計予算等の組み替えを求める動議を提出
市古議員は、国民の間で貧困と格差拡大が進み、あらゆる層の暮らしと営業で不安と危機に見舞われているとして「貧困と格差が拡大が進んでいる今こそ市政運営の軸足を社会的弱者への行政サービスの維持、市民の暮らしを守ることにこそしっかりと軸足を置くべきです」と立場を述べて、
(1)高齢者福祉のさらなる切り捨てをやめ負担軽減をはかる、障害者予算を増やす、
(2)子育て・教育にかかる費用負担の軽減をはかり、子育てしやすい環境を整える、
(3)不要不急の大規模開発を中止し、一般会計および水道・工業用水事業会計の市債発行を抑制することにより後年度負担の軽減をはかり、市財政の健全化に向けた一歩を踏み出すと基本法視点説明。
具体的には歳入予算として高速川崎縦貫道路関連事業の中止、羽田再拡張に伴う「神奈川口構想」関連予算、水江町地内公共用地活用事業の中止などで約75億円を確保。歳出予算として21項目の事業への充当を示し、老人医療費助成制度の復活、妊婦検診の14回への充実、認可保育園の緊急増設などを進めると説明しました。
この組み替えによる総事業費は75億円で、市債の発行は約211億円削減できるとして他会派議員の賛同を呼びかけました。
代表討論で反対理由
宮原春夫議員はセーフティネットにかかわる様々な施策を冷たく切り捨て、貧困と格差の拡大に追い討ちをかける一方で、水江町用地を248億円で買い戻すとともに、県内最大級の助成条件となる企業助成制度を立ち上げ、極々限られた大企業に助成を集中するやり方はとうてい市民の理解を得られるものではないと厳しく指摘しました。
議案については、「川崎市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」は「関係住民への丁寧な説明や協議の必要性を訴えると『今の人員ではとても手が回らない』という職員の声もある」とし必要なところに必要な人員を配置すべきとして反対、「川崎市給与に関する条例及び川崎市立高等学校及び幼稚園の教職員の給与等に関する特別処置に関する条例の一部を改正する条例の制定について」は、小中学校に副校長、主管教諭、指導教諭という職の拡大と上意下達の職員管理につながる危険があるとして反対、水道事業会計予算案、工業用水事業会計予算案については、ともに高速川崎縦貫道路共同溝建設事業に関連する予算が含まれているとして反対の理由を述べました。
共産党が呼びかけ採択された意見書
正規雇用を増やす施策の充実を求める意見書(意見書案第10号)
パート・アルバイトをはじめとする非正規雇用者の数は、全国で1,700万人を超え、役員を除く雇用者の約3分の1となっている。「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちや、 「ワーキングプア」といわれる世帯も急増しており、そのおおもとには、非正規雇用の増大があると指摘されている。
非正規雇用者の処遇については、賃金や社会保険等の面で正規雇用者と比較して均衡を欠いたものとなっている。正規雇用を希望してもそれがかなわない状況が続くことは、社会全体の活力を失うことになりかねず、とりわけ若年世代においては、将来の生計の不安定化を招き、我が国の将来を築く上にも重大な影響を及ぼすものといわれている。
また、派遣労働者については、いわゆる偽装請負もあり、同じ仕事をしていながら、不利な労働条件で働いている例も問題化している。
現在、厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」において労働者派遣制度の在り方について検討しているところであるが、誰もが意欲を持って働ける社会の実現を目指し、働くものの視点に立った雇用の安定に資する見直しとなるよう慎重に対
応することが求められてきている。
よって国におかれては、正規雇用を推進する施策を強化するとともに、就業形態にかかわらず労働に応じた処遇とする労働者派遣制度に改善し、非正規雇用者の安定した雇用を図るよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
海上自衛隊艦艇と漁船との衝突事故に関する意見書(意見書案第12号)
2月19日未明、千葉県野島崎沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」が衝突した。「清徳丸」は真っ二つに折れ、乗務員2人は、いまだ行方がわからないという痛ましい事故となった。
事故現場付近は、東京湾の入り口に近く、大型船の航行も多い上に、好漁場でもあり、長さで漁船の10倍もある自衛艦側に、細心の注意が必要であったことは論を待たない。
最新鋭の設備を満載していても、それを操る人々の細心の注意がなければ、事故は防ぐことができない。また、正確な情報伝達の遅れも指摘されている。20年前の、潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」の衝突事故など過去の教訓が生かされていない。今後、人的なミスをなくすとともに、これをカバーして事故に結び付かないようなシステムを構築していくことが必要である。
よって国におかれては、事故原因の徹底究明と防衛省の規律のゆるみ、危機管理体制を見直すため、次の事項について特段の措置を講ぜられるよう強く要望するものである。
1 徹底した事故原因の究明を早期に行うこと。
2 防衛省、自衛隊の綱紀を粛正し、厳正な規律を取り戻すこと。
3 危機管理体制を抜本的に見直し、事故の再発防止に向け対策を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
請願など
次の4つの請願は、共産党などが賛成しましたが少数のため不採択となりました。
○高齢者の負担増と医療水準を引き下げる後期高齢者医療制度の凍結と制度見直しを求めることに関する請願(請願第19号)
○市民のいのちと健康を守るためにだれもが受けやすい健康診断費用にすることに関する請願(請願第31号)
○国に後期高齢者医療制度等の実施中止を求めることに関する請願(請願第32号)
○神奈川県後期高齢者医僚広域連合に後期高齢者医療制度の改善を求める意見書を提出することに関する請願(請願第33号)