殿町3丁目地区の用地取得について佐野議員が代表質疑ー4月臨時議会
第2回市議会臨時会初日の4月14日、佐野仁昭議員が、殿町3丁目地区の中核施設用地の取得について日本共産党を代表して質疑を行いました。
今回の土地取得は、「神奈川口構想」の中核施設を整備することを目的に、川崎市が都市再生機構より1.3ヘクタールの土地を約23億円で購入、その内0.6ヘクタールを財団法人実験動物中央研究所に50年未満の定期借地権で貸し付け、0.7ヘクタールを公募した事業者に定期借地権で貸し付け、事業者が整備した施設の一部を川崎市が借り受けて、環境総合研究所と(仮称)健康安全研究センターとして「(仮称)産学公民研究センター」を整備するものです。
佐野議員は、「これが市民の福祉向上の面から最優先に取得するべきものかどうかということが、極めて疑わしいと言わざるを得ない内容」と指摘して、都市再生機構と民間の直接取引が可能にもかかわらず川崎市が購入した上で民間に貸し出すという仕組みにしたのはなぜか、貸した土地に民間が建てた建物の床を市が借り受けるという複雑な仕組みにしたのはなぜか、ということを改めて質問。
「民間の資金やノウハウの活用」というなら土地取得も含めて民・民の契約で事業を進めればいいことで市が買い取った土地を貸し付けて民間に建物を建ててもらう必要はなく、どこの企業や大学を誘致するのか・市が土地を買い取ってまで“誘致”する必要があるのかなど慎重な検討もないまま事業化先にありきではかつての「マイコンシティー」の二の舞になりかねず、現実には実中研以外は未知数の研究機関の立地を前提にホテルだコンベンションだと構想だけが膨らんでいくのはあまりにも無責任で杜撰だと批判。企業誘致のために莫大な資金を投入することだけは決まっているが、その投資の結果に担保できるものは何もない一か八かの賭けでは、市民の理解と納得は到底得られないと指摘して明確な答弁を求めました。
さらに佐野議員は、衛生研究所は、新型インフルエンザの時のように市民の健康と命を守るかけがえのない施設であるとともに、行政処分の根拠となる正確なデータを提供する重要な役割を持っていることからも民間委託すべきではないとして見解を質しました。公害研究所を環境総合研究所とすることについても、公害根絶に向けた行政の取り組みの中で重要な役割を果たしてきた施設であり、地球温暖化対策やPM2.5の大気汚染改善など環境対策への取り組みに役割を発揮することが求められる施設であることから、直営施設として維持すべきと質問。
また、研究施設を核拠点にして産業集積を図る産業政策としての面からは、自治体が旗を振った先端産業集積でこれまで成功した他都市の事例はなく、別途の考慮が必要と述べ、川崎市が先端医療研究開発競争に参入する産業政策としての展望はどこにあるのか、インセンティブとしての財政支出や今回の土地取得以外の財政支出の可能性について質しました。
再質問で佐野議員は、市内中小企業を支援する予算は融資を除けば約10億円で、一般会計の約0.2%で今回の土地取得予算の半分以下でしかなく、「鶴岡バイオクラスター形成プロジェクト」(山形県鶴岡市)では地域での産業化が図られなかったように、将来の市内中小企業を支える産業として根付くことすらままならないのではと、市長の見解をただしました。