気候危機の打開に関する調査と懇談 第5回
4月28日、共産党川崎市議団は、弁護士・気候ネットワーク浅岡美恵氏と懇談しました。
浅岡氏は、2015年パリ協定は、「平均気温の上昇を工業化前から2℃を十分に下回り、1.5℃に抑えるよう努力する」という温度目標の達成を目的とした。日本ではあまり伝えられていないが、温度目標を定めるということは、これから世界で排出できるCO2の総量、残余のカーボンバジェット(炭素予算)が決まるということ。そうすると、CO2の排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」がどこかの時点で必ず必要になり、脱炭素の世界に移行していくタイムスケジュールが求められることになる。パリ協定採択時には2℃未満に重点が置かれていて、21世紀の後半の遅くない時期にゼロにするとのタイムラインだったが、COP26では、「1.5℃目標」の方に重きがおかれ合意された、と話し世界ではパリ協定の頃よりはるかに切迫感が共有されてきたが、日本には切迫感が足りない、と強調されました。
また、「危険な気候変動は国民への現実の切迫した脅威であり、気候変動を防止することは国の責務である」として2019年にオランダ最高裁判決が、政府に対し科学が求める水準の排出削減と計画を命じたことを紹介。また、2021年、ドイツ憲法裁判所が、気候変動法に2030年以降の削減経路が定められておらず、2025年に政令での対応の可能性があるのみで不十分であり、適時に対策がとれるよう議会に対し、議会自ら2022年末までに2030年以降の削減経路を定めるよう命じたことを、紹介されました。その他、2021年、オランダハーグ地裁は、シェルグループのスコープ1~3のCO2排出量を、2030年までに2019年比で45%削減すべき、と歴史的判決が下されたことなどをお話しされました。