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気候危機の打開に関する調査と懇談 第2回

20220414_162153_resized 日本共産党市議団は4月14日、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏のお話を伺い、懇談しました。

 飯田氏が所属する環境エネルギー政策研究所は、自然エネルギーを軸とした効率的なエネルギーシステム、エネルギー利用にともなう便益とリスクの分配が公平な社会、エネルギー政策や社会政策の意思決定が透明で参加的な社会、個人と地域が自立した地域分権型のエネルギー社会を柱とした持続可能なエネルギー社会を目指し、エネルギー政策の研究と提言、自然エネルギーの普及啓発に取り組んでいる、政府や産業界から独立した第三者機関です。

 飯田氏からは、石炭・石油という化石燃料の世紀から、太陽エネルギー中心の再エネの世紀へと、百年に一度のエネルギー大転換期であり、この十年間で、VRE、つまり太陽光発電と風力発電は平均的なコストではそれぞれ9割減、7割減と急落し、それに伴って急激に拡大していること。このVREを主力電源にするためには、ベースロード電源として優先給電ルールに基づき原子力発電の出力抑制を最後まで行わない古い考え方から、「柔軟性」へ転換が今すぐ必要であり、また、VREへの出力抑制に対して経済的な補償が必要であると話されました。

 日本では政策の失敗により太陽光発電の市場は縮小しつつあり、再エネ100%のエネルギー供給を目指す世界のエネルギーシナリオの潮流からかけ離れている状況がみられる。他方で、世界の原子力発電所数は現在415基あり平均稼働年数は31年。今まで廃炉になった198基の平均使用年数は27年であることから、現在稼働している発電所もいつ廃炉になってもおかしくない状況にある。この点からも、発電コストの低いクリーンなVREを普及させない手はないというお話しでした。

 世界各地の事例として、電力を超えて他分野でVREを活用する「セクターカップリング」というスマートエネルギーシステムや、地域社会が一体となり市民参加で目標やコンセプトを作成しながらエネルギー自立を目指す例が紹介されました。今後は余剰電力を電気分解により水素にいったん変換しそのグリーン水素からさらに都市ガスとして利用が可能なメタンへ変換し、グリーンでエネルギー密度の高い可搬性に優れた液体燃料へ変換することが、近い将来、技術的にはもちろん、経済的にも可能であり、将来の市場拡大が期待されています。

 市議団は、今後の臨海部土地再編整備にあたって、環境面からも雇用を生む地域経済の面からも、再生可能エネルギーの可能性を取り上げていきます。


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