2021年度川崎市予算要望書
予算要望書の提出にあたって
2020年9月、菅新政権が発足しました。菅首相が国の政治のあり方について繰り返しているのは、「安倍政権の継承・発展」と「自助・共助・公助」の二つだけです。
しかし、7年8カ月におよぶ安倍政権は、内政、外交、政治モラルなど、あらゆる面で行き詰まりがあらわになりました。とりわけ新型コロナ危機の体験を通じて明らかになったのは、人間は一人では生きていけない、社会の力で支えることがどうしても必要であり、国や自治体など公の支えが不可欠だということでした。「自己責任」を押し付ける新自由主義では、この社会はもはや立ち行かないことが明瞭です。行き詰まった政治を「全面的に継承」する菅政権では、新しい政治を求める国民の期待を裏切ることになることは必至です。いま政治がなすべきことは、行き詰まった「安倍政治」の「継承」ではなく、「安倍政治」の転換であり、「負の遺産」の一掃です。
「自助、共助」は政治が国民に押し付けるべきものではありません。政治の仕事は「公助」――くらしを守り、良くする「公」の責任を果たすことです。新型コロナ感染の広がりに苦しみ、歯を食いしばって努力している国民に対して、「まずは自分でやってみる」と自己責任を押し付ける政治では、国民の苦難は解決するどころか、ますます苦しみをもたらすことになります。
新型コロナ感染症によるくらしと経済への打撃は、日を追うごとに深刻さを増しています。4~6月期のGDPは年率28・1%減という戦後最悪の落ち込みになり、その後も、7月の家計消費が前年同月比7・6%減という大幅な減少となるなど、失われた需要と消費は戻っていません。「アベノミクス」のもとで労働者の実質賃金は低下を続け、2度の消費税増税はくらしと経済に重大なダメージをあたえました。そこに新型コロナ危機が襲ったことで、家計、雇用、中小企業は、深刻な危機に直面しています。
このような状況、国政のもとで、川崎市・市長に求められているのは、「住民福祉の増進」という自治体の本旨に立ちかえり、国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤として、市民の切実な要求に応えることです。川崎市の財政力は政令市トップです。市民要求実現のための財源は十分にあります。不要不急の大規模開発を抜本的に見直し、市政運営の軸足を市民要求実現によって市内の中小零細企業も商店街も元気になって活性化する、そのことによって雇用拡大もはかるという、〝好循環サイクル〟へと転換することが必要です。
この要望書は、広範な市民や各界から寄せられた要望・意見などを集約したものを予算要望項目としてまとめたものです。これら市民の強い願い・要望を2021年度予算編成にあたり、積極的に取り入れられるよう申し入れるものです。
2020年12月2日
日本共産党川崎市議会議員団