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議会報告

障害者支援施設の民営化に反対~赤石議員が代表討論

IMG_53666月18日の第4回川崎市議会定例会で諸議案の採決に先立ち、日本共産党を代表して赤石博子議員が討論を行ました。

赤石議員は、障害者支援施設である「れいんぼう川崎」や障害者就労支援施設である「わーくす大師」の建物の無償譲渡と民設化の議案、公立保育園の保育園の民営化議案、市立多摩病院の非紹介患者初診加算料を値上げし新たに再診患者加算料を設ける議案などに反対することを表明しました。

また、教員の1年単位の変形労働時間制度導入の前提となる「時間外在校等時間月45時間・年360時間以内」に必要な措置を講ずる条例案は、変形労働時間制については導入すべきではないしながら、教職員の働き方を改めることは待ったなしの課題であることから、この議案自体には反対しないと述べました。

赤石議員の討論原稿は次のとおりです(議事録ではありません)。

代表討論

私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行います。

議案第77号 川崎市市税条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案の主な内容は、地方税法の一部改正に伴い、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、現所有者は、固定資産税の賦課徴収に関し必要な事項を市長に申告しなければならないこととする条例改正です。地方税法の改定では、調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかにならない場合に、事前の通知を行ったうえで、使用者を所有者とみなして台帳に登録し、固定資産税を課税することも可能とする、「みなし課税」の内容も含まれています。

わが党は国会では、課税業務の現場において、みなし課税を乱用される可能性も指摘して注視していくとしました。総務委員会では、「使用者を所有者とみなす、みなし課税」について質問したところ、財政局は「みなし課税の部分は条例化しない」、「みなし課税は税法上は可能だが乱用はしない」という答弁でした。

みなし課税が乱用されないことを注視していくとして、この議案に賛成します。

議案第78号 川崎市手数料条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案は、マイナンバーカードの通知カードの再発行の廃止に伴う手数料の廃止を含む条例の改定です。

委員会では、この通知カードがなくても証明書の発行などの事務処理は、今まで通り可能であり、市民に不利益を生じることはないということでした。

そもそもわが党は、マイナンバー制度については、当初から深刻なプライバシーの侵害や情報漏洩による犯罪を招くおそれがあることから、導入そのものに反対してきました。よってこの議案には反対です。

議案第81号川崎市心身障害者総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について及び議案第95号財産の無償譲渡について、議案第82号川崎市障害者就労支援施設条例の一部を改正する条例の制定について及び議案第96号財産の無償譲渡についてです。

 議案第81号議案第95号は、障害者支援施設である「れいんぼう川崎」を廃止し、その建物を社会福祉法人に無償譲渡し、民設化するため、議会に議決を求めるものです。また、議案第82号議案第96号は障害者就労支援施設である「わーくす大師」を廃止し、その建物を社会福祉法人電機神奈川福祉センターに無償譲渡し、民設化するため議会に議決を求めるものです。

障害者施設に於いては障害者の人権の保障、一人ひとりに合った質の高いサービスを提供するためには行政が責任をもって関わらなければなりません。しかし、民設化により年1回のモニタリング実施から2年に1回の監査で済むなど、監督指導が弱まり行政責任が後退することが危惧されます。従って、障害者支援施設れいんぼう川崎、障害者就労支援施設である「わーくす大師」の民設化には賛成することはできません。また、民設化のための廃止議案にも賛成できません。以上より、議案第81号及び議案第95号、議案第82号及び議案第96号には反対です。

議案第84号 川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案は、北加瀬保育園、平間保育園、平間乳児保育園、西宮内保育園、有馬保育園および平保育園の民営化に伴いこれらの保育園を廃止し、指定管理を行わないこととするものです。公立保育所の民営化が2005年から毎年進められてきましたが、この5園の民営化が終了すれば、公立保育所は各区3園の「新たな公立保育園」のみとなってしまいます。

私たちはこれまで、公立保育所の役割である保育の継続性、公平性を担保することの重要性を指摘するとともに、民営化によるコスト削減は人件費削減と労働条件の悪化に直結し福祉水準の低下を招く危険性が高まること、保育士の離職率を高め人材確保が困難になることなどを指摘し、一貫して民営化に反対してきました。また、市が民営化の論拠とした「多様なニーズへの対応」も公立保育園でできないことはないことも明らかにしてきました。

こうした観点で民営化に反対してきた立場から、本議案には反対です。

議案第86号 川崎市建築基準条例の一部を改正する条例の制定についてです。

今回の条例改定は、第1に、学校や病院などの特殊建築物等が3階以下で、延べ面積が200㎡未満の場合、避難通路の幅の基準を1.5mから0.9mにできるよう変更することと、第2に、簡易宿泊所について3階以下で延べ面積が200㎡未満の場合、2か所以上の直通階段を設けなくてもよいとするものです。いずれも国の建築基準法施行令の改定によるものですが、安全性を低下させる規制緩和であり、認めることはできません。よってこの議案には、反対です。

議案第87号川崎市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この条例は、紹介状なしの初診に5000円以上の追加負担を義務づける大病院の対象が、現行の「特定機能病院と許可病床400床以上の地域医療支援病院」から、「特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院」へ拡大されたことにより、市立多摩病院の非紹介患者初診加算料を2,000円から、医科5,000円、歯科3,000円に引き上げるほか、新たに再診患者加算料、医科2,500円、歯科1,500円を設けるものです。

これは受診者にとって大きな負担増となります。そもそも、この制度は、保険給付で受けられる診療に、差額徴収となる選定療養を持ち込むことで、患者に健康保険外の負担を求めるもので、わが党は2016年度の制度導入時から反対してきました。本制度には社会保障費削減の狙いがあり、だれもが、いつどこでも安心して受診できる医療保険制度そのものを破壊するものです。これらの立場から、議案第87号には反対です。

議案第89号 川崎市立学校の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 この議案は、改正給特法の第7条を受けて国が示した「時間外在校等時間は月45時間、年360時間以内とする」という指針について必要な措置を講ずるためのものです。

この指針は1年単位の変形労働時間制度導入の前提ともなるものです。しかし人間の体は、そもそも繁忙期の疲労を閑散期で回復できるようなものではなく、1年単位の変形労働時間制は人間の生態リズムにあった1日8時間労働制の原則を壊すものだと考えます。改正給特法のうち変形労働制にかかわる第5条では、条例を制定するかどうかは自治体に任されていることから、私たちは条例を制定すべきではないと述べてきました。

1年単位の変形労働時間制については導入すべきではないと思いますが、教職員の働き方を改めることは待ったなしの課題です。国の指針にもとづき一定の制限をすることは重要なことであり、この議案自体には反対するものではありません。

また一方で、今の教職員の働き方は、月45時間以内どころか「過労死ライン」と言われる月80時間を超える在校等時間をゼロにするという目標を達成できず、長時間労働が常態化している実態があります。委員会で、ICカードによる在校等時間の記録が45時間、80時間を超えた場合に、本人や管理職にリアルタイムで知らせる仕組みに改めるよう求めたのに対し、教育長は「個々の教職員の状況をつかむ中で適宜アドバイスするべきで、在校等時間を個々に知らせることは重要だ」と答えました。一般企業では当然行われている労働時間把握のシステムを早急に導入するよう求めます。またその際に、国の指針で強調されている「上限時間を遵守するためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することは、厳に避け」ること、「実態把握に努めるとともに、業務の持ち帰りの縮減に向けた取り組み」を進めることを要望いたします。

 次に、最低でも1日あたり45分取ることとされている休憩時間の取り扱いについて、委員会で「実際に休憩時間を取れているか否かに関係なく、全員が休憩を取ったものとしてICカードで記録された出勤から退勤までの在校等時間から一律45分を差し引く」という運用をしていることを認めました。しかし私たちが、休憩時間を取れなかった場合は自己申告で在校等時間に加えるよう求めたのに対しては、改善するとの答弁は最後までありませんでした。

また、こうした運用を改めない理由として「休憩を取ることは大原則で必ず休憩をとるように周知徹底している」「システムを変えるのは難しい」などの答弁がありました。

しかし、つい3年前の教職員の勤務実態調査で市は「93%の教職員が休憩が取れていない」と自ら認めていたのに、急に取れるようになるはずがありません。また「在校等時間を減らすため」との理由でICカードが導入されたのは2019年度からです。93%が休憩時間を取れない現実があるのに「原則45分を差し引く」というシステムを導入したこと自体が不合理であり、「在校等時間を短く見せかけるためではないか」と言われても仕方ありません。国の指針は「在校等時間を上限の範囲内とすることが目的化し…実際より短い虚偽の時間を記録に残す、又は残させることがあってはならない」と、虚偽の報告を禁止しており、国会答弁では「虚偽の記録を残させたようなことがあった場合は…懲戒処分等の対象ともなり得る」とされています。

虚偽報告となるような記録方法を即刻改めること、休憩時間については自己申告に基づき反映させる仕組みに早急に改善することを強く求めます。以上を要望して、本議案には賛成いたします。

議案第92号 川崎港臨港道路東扇島水江町線アプローチ部橋梁(そのⅡ工区)ほか工事請負契約の締結についてです。

この工事は、国の直轄事業である東扇島水江町線の東扇島側アプローチ部整備の一環として本市が受託して実施するものであり、橋梁上部及び下部工の架設を行うものです。私たちは、不要不急のこの事業は行うべきではないとの立場であることから、この議案には賛成できません。

議案第93号川崎市農業委員会委員に占める認定農業者等又はこれらに準ずる者の割合を過半数とすることの同意について、議案第94号川崎市農業委員の選任についてです。

 この議案は、農業委員会等に関する法律第8条第1項の規定によるものであり、その規定では、委員の任命について、農業委員の過半数は原則として、認定農業者等でなければならないとされています。また原則通りの委員構成が困難な場合、例外が設けられており、認定農業者数が、農業委員の定数の8倍より少ない場合は、議会の同意を得たときに例外を適用できるとしています。

 本市の場合、認定農業者数が農業委員の定数の8倍より少なく、今回の議案は、農業委員の過半数が認定農業者等又は認定農業者等に準ずるものであるため、規則第2条第1号を適用し、市議会の同意を得たときに例外を適用するものです。

 わが党は、2015年、農業委員会法改定の際、農業委員の公選制を廃止し、「意見の公表、建議」を削除したことで、農業者の「自治」が大きく後退させられること。また、認定農業者には農家だけでなく株式会社も参入できるようにして、代々守り続けてきた農地が企業に安く借り受けされる可能性があることなどを指摘して反対しました。

 しかし、委員会の質疑で、今回の委員の方については、行政書士の方を除いては地元・地域の農家の方であること、また、法人の方は1人いますが、地域の農家の方であることを確認しました。今回の委員の選任については、企業参入の恐れがないこと、地元農業者の自治が守られることを確認しましたので、両議案に同意します。

議案第103号 令和2年度川崎市一般会計補正予算案についてです。

この議案のうちGIGAスクール構想端末整備事業費についてですが、

そもそもこの構想の導入を求めた経済産業省の研究会による「提言」では、公教育で得られたビッグデータを民間企業が活用できるような環境整備まで求められてきました。また、この構想では「1人1台端末環境を実現すれば個別最適化された学びが実現できる」とされていますが、児童生徒が「個別」に異なる課題にそれぞれ取り組むことが主になれば、学びが分断されたものになりかねません。私たちはこれまで、学級集団の中で同じ課題に取り組み互いの意見や考え方を尊重して学びあうことこそ人格の完成をめざす学校教育でもっとも重要なことではないか、と指摘してGIGAスクール構想については慎重に進めるよう求めてきました。

また、これまでも指摘してきたように、教育現場には今年から始まったプログラミング教育や英語教育による負担も大きく、そこにコロナによる休業により教職員に係る負担がさらに重くなっています。教職員をフォローする体制を強化するよう要望いたします。

委員会での質問に対し、「個別最適化された学び」については、外国籍などの児童生徒や障害のある児童生徒が教育を受けやすくするためのもの、との答弁がありました。その点については必要なことと認めますが、習熟度に応じた個別学習アプリの使用については慎重に検討するよう要望します。

本議案の目的にあげられている「オンライン学習」については、国連子どもの権利委員会などから、家計により教育の格差が広がることを危惧する声が挙げられています。公教育の一環として実施する以上は、ルーターの整備や通信料など児童生徒や家庭の負担をなくし原則無償とするよう求めておきます。

また、今後もコロナウイルス感染症の第二波以降の感染拡大が予測されます。その際に学校休業が余儀なくされる状況がまた起きたとしても、子どもの教育を受ける権利を保障することが求められています。私たちはこうした場合のオンライン学習については、学校での集団的な学びを大原則としたうえで、あくまでそれを補完することを目的とするよう要望します。

補正予算全体についてです。

医療機関への支援については、5月補正に続き、今回の補正でも市独自の支出はゼロです。市が協力要請したのに1円も出さないという姿勢は異常です。医療機関は経営破綻一歩手前の状況です。国の補正待ちにしないで、市独自の減収補填を強く要望します。

PCR検査については、コロナ第2波を食い止めるためにも、医療・介護・福祉施設への優先的検査を行うことを強く要望します。

補正予算全体としては、コロナ対策と新川崎の小学校新設のための予算ですので、議案には賛成します。

報告第16号「地方自治法180条の規定による市長の専決処分の報告についてです。

 この報告の中の東扇島堀込部のケーソン製作の工事について、借地料、使用鋼材数量の変更により契約金額を16億9236万円から17億3347万円に変更。また東扇島堀込部・護岸築造の工事について、床堀工の数量、ケーソンの据え付け方法の変更により契約金額を21憶7250万円から23億3837万円に変更するものです。

東扇島堀込部埋立事業としては、今回2つの工事費用あわせて2億6000万円の増額となりますが、わが党は、この埋立事業については、不要不急の事業ということで中止を求めてきました。また、この事業費用240億円のうち200億円をリニア新幹線の残土受入れ費用で賄うということですが、今回の新型コロナ問題で、仕事や生活スタイルが変化し、テレワークなどが増える中、リニア新幹線自体の必要性も問われています。コロナ後の社会を考えて、不要不急の事業である東扇島堀込部埋立事業は中止にすべきです。

請願第14号「新型コロナウイルス禍による自粛要請を端緒とする不況対策として消費税の一時的減税を求める意見書を国に提出することに関する請願」についてです。

 この請願は、新型コロナの感染防止に伴う自粛要請によって、困窮する国民の生活支援及び経済対策の両面から、一時的に全品目の消費税を0%にすることを要望する意見書を国に提出するよう、市議会に求めるものです。

 委員会の質疑では、日本経済の現状について、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」こと。この間の企業の倒産・休廃業について、「倒産件数は例年の倍のペース」で進んでおり「倒産は1万件を超える」ことなどを指摘しましたが、財政局も「日本経済は厳しい状況」にあり「これから、さらに厳しい状況が続く」などの認識を示しました。

本請願理由でも述べられているように、市内でも「すでに中小企業や町の商店街のお店が倒産、閉店していくのを見聞きしている」「消費税分を残すため手持ち資金が使えず、決算時には払えない事業主が続出する」という切実な声が出ています。また、請願では「困窮する日本国民の生活支援及び経済対策の両面から消費税を0%に」「速やかに経済を復活させるために欠かせないのは消費税減税」と述べているように、市民・中小企業両方の支援のためにも、また経済復興にとっても消費税減税は最も有効です。以上の点から、本請願は採択すべきです。

以上の立場から、議案第78号、議案第81号、議案第82号、議案第84号、議案第86号、議案第87号、議案第92号、議案第95号、議案第96号、については反対し、その他の議案、及び請願については賛成・同意することを表明して討論を終わります。


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