市民の権利・安全を優先せよ〜代表質問で要求(6月議会)
2018年川崎市議会第2回定例会で6月14日、片柳進議員(川崎区)が日本共産党を代表して質問しました。
片柳議員は、リニア中央新幹線ルート上の地権者の所有権は大深度地下にも及んでおり、土地利用の制限や土地・建物の建設・売買について制約が生じることもあるのに同意も得ないまま工事が進められようとしていることや、安全対策についてもまだ具体的な内容すら示されていないことを明らかにして、市民の安全や財産を守ることよりも、リニア新幹線工事に協力している川崎市の姿勢を批判。事前の家屋調査を実施し、権利制限などをルート上の地権者へ丁寧に説明するようJR東海に求めることを市に要求しました。
また、当初、東扇島堀込部埋立士地造成事業は「総費用240億円について、その全てを受け入れ、料金に転嫁する」としていたものを、「当初から基盤整備の費用は本市が負担することになった」と事実経過をすり替え、JR東海との残土受け入れの覚書によって市が負担することになった40億円を正当化する答弁を厳しく批判しました。
片柳議員の質問原稿(初回)は次の通りです(議事録ではありません)。
代表質問
私は、日本共産党を代表して2018年第2回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行います。
歴史上はじめて米朝会談が行なわれ、「朝鮮半島の完全な非核化」「北朝鮮に対する安全の保証の提供」を米朝が相互に約束する共同声明に署名。朝鮮半島における永続的な平和体制の構築に向けて協力する「新しい米朝関係」を確立すると表明しました。
日本共産党は、北朝鮮問題の「対話による平和的解決」を一貫して主張し、4月上旬には関係各国に要請文書も送りました。この歴史的な米朝首脳会談と合意を心から歓迎するものです。非核化と平和体制構築を実現するためには、米朝両国の努力とともに、関係各国、国際社会の協調した取り組みが必要です。とりわけ、日本政府が日朝平壌宣言にもとづき、核・ミサイル、拉致、過去の清算など両国間の諸懸案を包括的に解決し、国交正常化のための努力をはかり、開始された平和のプロセスを促進する役割を果たすことを強く求めるものです。
こうした情勢のもと、民族差別を助長するヘイトスピーチ根絶に向けた取り組みは日本、本市にとっても喫緊の課題です。ところが、差別的言動を繰り返していると指摘されている団体による講演会が教育文化会館で6月3日に予定されていた件について、川崎市が当日の午前・午後の時間、同会館の諸室を確保して、市民が希望しても利用できない状態にしました。市は後日こうした対応の誤りを認めましたが、公の施設を利用する市民の権利を制限する対応が行われたことについて、市は猛省し、二度とこうしたことがないよう検証し、今後対応するよう厳しく求めるものです。
最初に市長の政治姿勢についてです。
安倍政権の「働き方改革」についてです。
政府・与党は、「働き方改革」一括法案を衆議院で強行採決しました。データねつ造などで法案提出の根拠が総崩れし、過労死促進の危険な中身も浮き彫りになる中での暴挙です。「審議の出発点」となった労働時間データは、異常値が2割にものぼり、さらに同一の調査票を二重に集計するなどデータねつ造疑惑は底なしで、問題は放置されたままです。
法案は、わずかな審議の間にも欠陥が噴出しています。「高度プロフェッショナル制度」は、長時間労働に歯止めがなく、労働者の裁量を与える規定もないため、業務命令を拒否できません。1日24時間労働を48日間連続して働かせることも可能になるなど、まさに「過労死促進法」です。労働時間も使用者に把握義務がなくなるため、過労死の疑いがあっても労災認定は困難となります。年収要件も下がることが予想されるなど、法案は「異次元の危険性」をもっています。過労死遺族と弁護士らは「働きすぎで家族を亡くす地獄のような苦しみをだれにもさせたくない」として制度の導入に反対する声明を発表しています。
残業時間の「上限規制」は単月100時間、平均80時間という「過労死ライン」にお墨付きを与えるものです。法案には「同一労働同一賃金」の文言もなく、パートの方が正社員と同等になるケースは1.5%とごくわずかであり、有期雇用と正社員との格差は放置され、派遣労働者も正社員と同等に扱われる人は限られるなど、非正規労働者と正社員との格差は縮まりません。このように「働き方改革」一括法案は、データのねつ造、過労死を促進する危険な中身など、どれをとっても異常です。世論調査でも今国会成立は「必要がない」が68.4%と多数です。法案は、白紙撤回し、廃案にすべきです。市民の雇用や生活を守る責任がある市長として、高度プロフェッショナル制度など法案の中身についてどのように考えているのか、見解を伺います。
「かわさき家庭と地域の日」の試行実施についてです。
学校教育法施行令等の改正に伴い、体育の日を含む3連休後の10月9日を「かわさき家庭と地域の日」と名付け「秋季休業日」に試行設定することについてです。改正の趣旨は、保護者の有給休暇の取得を促進することと合わせて、児童生徒と保護者が共に体験的な学習活動などに参加する休業日を設定するとしています。行政が、親子が体験的な学習活動に参加するためにわざわざ休業日を設定してまで行なうというのは、国が家庭教育支援の基本方針を定め、地方公共団体が参酌した基本方針を定め、家庭教育に介入することを目的とする「家庭教育支援法案」の先取りではないかと考えます。個人と家庭の判断に踏み込むべきではないと考えますが市長に伺います。
性自認と性的指向にかかわる施策についてです。
同性パートナーシップ制度は現在7自治体が導入し、大阪市も検討しています。「多様性は未来」と強調してきた本市こそ、「人生を共にするパートナーとの関係を大事にしたい」という思いを正面から受け止め、同性パートナーシップ宣誓制度の導入に踏み出すべきではないでしょうか。市長に伺います。「支援宣言」をあげて、性自認、性的指向に関わる施策を進める自治体が広がっています。滋賀県大津市は、市長自ら「おおつレインボー宣言」を起案し、憲法の法の下の平等にふれながら「性的指向や性自認は人それぞれ違う。差別や偏見をなくす」と高らかに訴えています。市長が先頭に立ち「宣言」をあげてこそ、本格的に性自認と性的指向にかかわらず人権を保障するとともに、偏見をなくし理解をすすめる取組みが広がるのではないでしょうか。市長に伺います。
子育て支援策についてです。
小児医療費助成制度についてです。
まず、通院の所得制限についてです。
我が党議員団は今年4月、中学生までの医療費、第2子以降の保育料や市営施設の利用料などを、すべて所得制限なしで無料化している兵庫県明石市を視察しました。新聞のインタビューで明石市長は、「所得制限は親を問うていることになります。子どもを親の持ち物のようにとらえ、親の所得によって子どもを勝ち組と負け組に二分するようなものです。子ども全員を対象に低所得者層だけでなく中間層の子や孫にも恩恵が及ぶようにした方が、納税者として市の財政の支え手にもなっている中間層に理解が得やすくなるのは明らかです」と語っています。所信表明で福田市長は「経済的・精神的な負担が大きい子どもの入院医療費」の助成について、来年1月を目途に所得制限の廃止に向けて取り組みを進めると述べました。子どもが入院するほどの病気やケガをする時は、その前後の外来通院も多くなるのは当然で、子どもと寄り添うのは入院中だけではありません。入院に至るような重症化を防ぐためにも、外来通院で早期発見・早期治療をすすめることが重要です。入院医療費助成の所得制限の廃止と同時に、通院助成の所得制限も廃止すべきです。市長に伺います。
次に、通院の助成対象年齢についてです。
いよいよ相模原市は今年10月から、横浜市は来年4月から、中学校卒業まで拡充する予定です。このままでは、首都圏さらには県内の政令市で「小学校6年まで」にとどまるのは本市だけになります。本市も、遅くとも横浜市と同時期に中学校卒業まで拡充することを今こそ決断すべきです。市長に伺います。
保育所の待機児解消についてです。
「4月1日現在の保育所等利用申請・待機状況」によると、認可保育所に利用申請する人は、私たちが指摘してきたとおり就学前児童の約4割を占め、初めて3万人を超えました。そのうち入所できなかった保留児童は2,960人といずれも過去最多となり、待機児童は新定義により18名となりました。
2018年度から3年間の「子ども・若者の未来応援プラン」における2018年の保育所・認定こども園の確保方策の計画に対し、実際の利用申請数をみると、ゼロ歳児2,144人に対し利用申請が3,047人と903人上回り、1~2歳児についても10,101人に対し利用申請12,579人と2,478人も上回りました。保育所・認定子ども園の確保方策を実態に見合うよう見直すべきと考えますが伺います。
今後の保育所整備計画です。
今年度中の整備計画2,011人中、認可保育所は1,840人ですが、その内訳は、公有地活用型の整備はゼロにたいし、民間事業者活用型の整備は1,350人で73%も占めています。私たちは、この手法は園庭の確保が困難であることから、公有地活用型、民有地活用型にもっと重点を置くべきと主張してきました。局長は先の3月議会でわが党の、全庁あげて公有地活用を求めた質問に対し「利用可能な資源を最大限に活用するため、保育所整備が可能と思われる公有地について関係局と協議を進める」と答弁しました。関係局との協議状況について伺います。具体的に八丁畷駅周辺の市有地について伺います。市営住宅建替えや仮設園舎跡地を活用した整備を引続き促進すべきです、伺います。国は、潜在的な保育ニーズにも対応するとした「子育て安心プラン」のなかで、「民有地マッチング事業」を活用し、積極的な保育の受け皿確保に向けた取組みを進めるよう求めています。従前からわが党は「民有地マッチング事業」を提案し、幾つか整備された経緯はありましたが、今後もっと積極的に推進すべきと考えますが伺います。
「量の確保」とともに「質の確保」は重要な課題です。多様な運営主体による保育施設の大幅な増大とともに、保育従事者も年々増加していることから、新たな公立保育所を拠点として人材育成を進めており、公開・交流保育をはじめ様々な取組みを行っています。また園庭やプールの開放、育児相談など地域の子育て支援も担っています。新たな公立保育所にこうした役割や機能をになう保育士などを増員配置すべきです。伺います。老朽化に伴う新たな公立保育所の建替えの際は、地域交流スペースや人材育成等を担うスペース、医療的ケア児の受入れ室の確保は必須と思いますが伺います。新たな公立保育所21園中4園の建替えのスケジュールは示されていますがその他の17園についても計画的に建替え計画を示すべきですが見解と対応を伺います。
教育をめぐる環境改善についてです。
小学校給食の無償化についてです。
小学校の給食費は、新年度から1食40円値上げされ、年間4万9500円、6年間では29万7千円にもなります。中学校でも完全給食の実施により、3年間で新たに12万8064円も増えます。子どもが2人,3人いる家庭では大変な負担です。
あるお母さんのこんな訴えを聞きました。「うちの子が給食時間になると保健室に行っていることがわかった。父親がリストラで無収入になり、給食費を滞納しているのを子ども心に負い目に思ってのことだと思う。明るく振舞っているがどんなに辛いか、不憫でならない」。格差と貧困がすすむもとで学校給食費の滞納が社会問題になっていますが、給食費を滞納しないようにと、親は必死の思いをしています。義務教育を受けるのに、こんなにお金を徴収されるのは全くおかしなことです。だからこそ、全国で学校給食の無償化・補助している自治体が増え、全額補助が83市区町村、一部補助を合わせると、437市区町村に広がっているのです。
群馬県ではこの4月から、小中学校の給食費を完全無料化する市町村が9自治体に、一部無料化あるいは助成を行う市町村は13自治体にと増えています。無料化を行った嬬恋村の村長は、「義務教育はこれを無償とすると憲法がうたっている。村の教育を憲法の理念に近づけたかった」と語っています。みどり市は、「食育の教材となる給食の食材費を公費で賄うことにより、生涯を通じて食育に取り組める環境を目指す」といいます。住民からは「母子家庭のお母さんがバイトを一つ減らして子供と触れ合う時間が持てるようになった」などの声があるとのことです。
「義務教育は無償」の憲法理念、食育の充実、子育て支援など、親の経済的負担軽減の有効策とする無償自治体の広がりを受けて、文部科学省も初めて全市区町村を対象にした「学校給食費無償化調査」を行っています。保護者負担を軽減し、すべての子どもたちが学校給食を食べることができるよう、本市でも小学校給食の無償化に踏み出すべきです。伺います。
教職員の働き方についてです。
「教職員の勤務実態調査」の速報では、中学校の1週間あたりの学内勤務時間は教諭が63時間54分、総括教諭が58時間51分、平均で週61時間です。1日8時間、週40時間労働を前提にすると、週60時間はつまり週20時間の残業となり、「過労死ライン」である月80時間の残業に相当します。この「過労死ライン」で働く中学校教諭が55%に及ぶ実態も委員会で明らかになりました。休憩時間については「ほとんどとれない」「どちらかといえばとれない」との回答が合わせて93.3%です。休日出勤が月に3日以上の中学校教員は75.5%、月に7日以上という先生は25%にのぼります。このような実態をどう受け止めているのか、教育長に伺います。
こうした勤務実態に対する具体的な取組として、当面川崎市が行うのは事務支援員3人の配置、部活動支援員3人の配置、就学援助事務のシステム化、校外研修の整理の4項目です。横浜市がこの3月に策定した「教職員の働き方改革プラン」では、時間外勤務月80時間超の教職員をゼロにすることなどを目標として、今年度からその達成をめざして取組みをはじめています。本市も「過労死ライン」ゼロなど明確な達成目標を設定して労働環境の改善に取り組むべきですが、教育長に伺います。
学校給食費の公会計化については、先行して実施する自治体も多いのですから文科省のガイドライン待ちにせず、実施すべきです。伺います。
教職員の定数内欠員について、市長選挙の際に市長は「最優先課題として定数の確保に全力をあげる」と述べておられました。しかし定数内欠員は今年5月1日現在で341人、前年度から24人減っただけであり、臨時的任用教職員のみなさんの奮闘で教育現場が担われている実態は変わりません。2019年度に解消を図るよう手立てをとるべきです。市長に伺います。
勤務実態を改める根本の対策は教員を増やすことです。県から政令市に権限が移り、市の判断で教職員定数を決められるのですから、せめて過労死ラインを下回る勤務時間となるように教職員定数を増やすべきです。市長に伺います。
障がい者施策についてです。
本市には、中原区井田に、体育館、グラウンド、プールを備えた障がい者のスポーツ施設があります。2008年の「川崎市リハビリテーション福祉・医療センター再編整備基本計画書」では、この施設を改修し、「障害者のスポーツ・レクリエーション振興の中核施設」「障がい者スポーツの競技会場」「健康づくりの拠点」「市民相互の交流促進の拠点」という4つの主な機能をもつ「障がい者専用スポーツ施設の整備を行う」と明記しました。しかし、昨年の第4回定例会でわが党の障がい者専用のスポーツ施設の整備を求めた代表質問に対し、「既存のスポーツ施設を有効活用する」との答弁に終始しました。当初計画より大きく後退したと言わざるを得ません。2008年の再編整備基本計画策定から10年たちますが、いまだに「引き続き検討する」ということになっています。検討状況を健康福祉局長に伺います。当初計画で述べている、4つの主な機能は、今こそ求められる大変重要な機能であり、そのことをしっかり含んだ検討を行なうべきですが健康福祉局長に伺います。
今年3月策定された「かわさきパラムーブメント第2期推進ビジョン」の素案に対するパブリックコメントで「障害者はすべての人といっしょにスポーツ・運動に親しむことはできないので、専用のスポーツ施設が必要」という意見が寄せられました。
先日、文教委員会で京都の障害者スポーツセンターを視察しました。この施設は、様々な障がいの特性にしっかり配慮されており、安心して利用できるようになっているとともに、障害のある人とその介助者、登録ボランティアは無料で利用できます。指導者の養成にも力を入れ、パラリンピックの選手も輩出しているとのことです。この施設は健常者も利用できますが、混雑する場合は障害のある人が優先されることが市民の間に浸透しているとのことです。
障害のある方がだれでもスポーツに親しむためには、障がい特性に対応した適切な施設が必要です。それがあって初めて障がいのない人とも一緒に楽しむことができ、市民相互の交流促進の拠点になると考えますが見解を伺います。障がい者専用のスポーツセンターを整備すべきですが、市長に伺います。
高齢者施策についてです。
介護保険に関連して伺います。
要介護認定に係わる認定審査会の簡素化についてです。今年4月1日以降の要介護認定制度等についての改正では簡素化要件の6項目すべてに該当する者にとって認定審査会を経ず1次判定で可能とするとしました。要件該当のコンピューター判定で二次判定の要介護一致率が高いことで簡素化の妥当性を主張していますが、コンピューター判定だけでなく、認定調査委員、主治医の意見などをもとに審査委員の合議制による審議をしている現状からすると簡素化によって認知症の人の要介護状態がいままで以上に正しく反映できなくなる可能性が指摘されてきました。川崎市では簡素化することなく、引き続きこれまで通りの認定審査を実施すべきと思いますが、伺います。
総合事業についてです。実施されて3目になりますが、サービス提供をする事業所が指定をとりさげ、または更新しないところがあると聞きますが、その件数と理由について伺います。
特別養護老人ホームの整備についてです。
2018年4月1日現在の特養ホーム申請者(入居待機者)数は、3,551人と依然として多数の方が待機しています。昨年10月との比較で要介護4以上の方が1,674人で61人増、そのなかで「なるべく早く入居したい」が1,357人と52人増です。重度の方もなかなか入居できない、この異常な事態を打開するための対策を緊急にとるべきです。ところが、「かわさきいきいき長寿プラン」7期整備計画では、今後3年間で僅か590床の増設です。しかも、6期計画で示した整備数より80床も後退しています。これまでも指摘してきましたが、横浜市では1年も待たせている現状があるからとして整備数を年300床から600床に倍増するとしています。整備数の抜本的な拡大が必要です、計画の見直しを求めます、伺います。
川崎市南部地域療育センターにおける不適切な職員の配置についての報告に関連して健康福祉局長に伺います。
今回の南部地域療育センターにおける退職者押印で給付金を不正請求した件は、昨年の柿生学園男性事務職員による不正経理の件に続く、不祥事でした。障がい者の施設でこのような不祥事が起きたことは残念でなりません。
まず、南部地域療育センターに通っている利用者の方が不安にならないように事業の継続と職員の体制含めて万全を期すべきですが、伺います。
双方とも運営をしていたのは、社会福祉法人・市社会福祉事業団です。同事業団は、川崎市の第三セクターから2011年に民間に移行しましたが、法人理事長は代々、川崎市のOB職員が着任されています。
今回の南部療育センターにおける不祥事については、法人において検証委員会を設置するなど検証を踏まえた今後の再発防止や改善に向けた報告書を8月末までに提出させることなどを指示する勧告を行う、との報告がありました。外部委員を入れていますが、しっかりとした検証が行われることを強く要望します。
2件の不祥事に関して伺いますが、毎月開催される法人の管理職会議では当該施設からは報告されていたと聞きます。法人の上層部は不祥事の内容を承知していたにも関らず、市への報告や届出等の適切な指導は行っていたのでしょうか。
柿生学園の不祥事では、内部告発で発覚し、横領について事業団が市に最初に連絡したのは9月初旬で正式な報告書は10月24日までずれ込んだと報道されています。さらに当時の理事長は「市に報告すべきだとの理解が欠けてしまった」とも報道されました。前理事長は川崎市の健康福祉局長を歴任した方でした。あまりの事態認識の欠如に唖然としました。まさに事業団そのものに体質的な問題があるのではないか、事業団は1,000人もの職員を有し、多くのプロパーの養成も行い、市内で39もの障がい者、高齢者、保育園などの施設運営を担っています。川崎市の福祉の質にも大きな影響を与えるものです。さらに、多くの公的資金収入があり、高い公平性や公共性が求められています。その意味でも川崎市の責任は重大といわなければなりません。この間、川崎市は社会福祉事業団にどのような指導を行なってきたのでしょうか、伺います。
商店街振興について伺います。
2013年度から2017年度の5年間の商店街数の推移は、全市で234団体が、211団体に23団体も減少しています。高齢者・障がい者などが歩いて買い物ができる距離にある商店街がなくなることは、重大な問題です。これ以上の減少を食い止めなければなりません。横浜市では、昨年度から空き店舗の改修費の3分の2、補助限度額200万円まで助成する制度を実施しています。川崎市は、3年前からそれまでの家賃助成制度を止めて、空き店舗に自ら出店した特色のあるお店に対して表彰する制度を実施していますが、横浜市のような空き店舗の活用を促し、これ以上の商店街の減少を食い止める実効性ある対策を講じるべきと思いますが、伺います。
店舗リニューアル助成についてです。
店舗リニューアル助成が107自治体に広がり、高崎市の「まちなか商店リニューアル助成事業」は費用の2分の1、最大100万円を限度に2回までの助成を行う制度です。工事の施工者は市内の事業者に限るところは住宅リフォーム助成制度と同様です。高崎市では、毎年3億円程度予算を組み、1ヵ月で締切となるほど、利用の多い事業となっています。担当職員の方は、「2013年度からはじめた事業ですが、事業開始に当たって全年の7月から9月まで3ヵ月をかけ、市内300もの商店から聞き取りを行い、『跡取りがいない』『改装したくても資金がない』など、悩みを聞くうちに『補助制度があればリニューアルしますか?』と問いかけ、その声が多く寄せられたことから、制度を創設した」と話されていました。本市でも、市内商店の意向調査を行うことも含め、「店舗リニューアル制度」の検討を行うべきと思いますが、伺います。
正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。
中小企業の人材確保にむけた取り組みとして、「キャリアサポートかわさき」において6月から「正社員等転換相談窓口」を開設するとのことです。正社員等を目指す有期契約労働者の方や、有期契約労働者の正社員転換・無期労働契約転換に取り組む企業を支援するためとのことですが、市内で対象となる労働者と企業の数を把握しているのか。伺います。窓口体制をどう強化されるのか、伺います。
市内中小企業を支援して正規雇用の拡大につなげていく事業については、自治体が奨学金の返済に助成して支援する制度の事例をいくつかあげてきました。
2017年の9月議会では、兵庫県の「中小企業奨学金返済支援制度」についてとりあげ、この4月に兵庫県で話を伺いました。この制度は、中小企業の人材確保や県内就職定着を図るため、若手社員に対する奨学金返済負担軽減を実施している中小企業への補助を行うもので、補助額は、県と企業が各3分の1を負担し、上限額は年6万円です。中小企業や若手社員から大変喜ばれ、導入した2016年度実績は5社8人でしたが、2017年度が47社162人と企業で9倍、従業員で20倍と実績をあげたことから、2018年度は予算を1500万円増の8400万円に引き上げ、1500人分を計上しました。さらに、補助期間を3年から5年に延長しました。導入した企業は、29人以下の小規模企業が3割をしめ、製造業や美容業、旅館業など幅広い業種で活用しているのが特徴です。中小企業が補助金を負担してでも、この制度を利用していることは注目すべきです。川崎市内の工業会役員に、この制度について説明すると「支援期間の5年間は定着する。学卒者を確保できるのも良い」と、実施を歓迎する声が寄せられました。人材確保に力を注ぐ自治体が広がる中、中小企業の独自の努力に依拠するだけでなく、本市においても奨学金返済支援事業を立ち上げ、正規雇用として定着できる制度をいよいよ実施すべきです。伺います。
市内大企業のリストラ対応についてです。
大企業が労働者に犠牲を強いる大リストラに対し、働く者の権利・尊厳と地域経済を守る立場で、繰り返し市長の権限で「雇用対策本部」の設置を求めてきました。
先の議会で取り上げた東芝のグループ3社のリストラで市経済労働局の調査では、今年4月までにデジタルソリューションズ社で234人、インフラシステムズ社67人、エネルギーシステムズ社で17人と合わせて318人が離職したとのことです。雇用対策法は第4条で事業規模の縮小等の際の失業予防、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を促進するために必要な施策の充実を求めています。また、第五条で「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない」としています。今回のデジタルソリューションズ社は派遣会社と契約しているとも伝えられています。派遣会社に出向させ、1年後に転籍、転籍後は派遣会社から契約解除され雇用継続が保証されないなどがあるとのことです、こうした手口は雇用対策法に抵触する違反行為です。雇用対策法に基づき東芝のリストラに対し本市の責任としてどのような行動を取られたのか、離職した労働者の再就職先の情報などは掴んでいるのか、併せて伺います。318人もの離職者を出しているのですから、これは「大量雇用変動届」が出されているケースです。今からでも雇用対策本部を設置すべきです、市長に伺います。
NECは今年1月30日、今年度中に国内で3000人のリストラを発表しました。売上高、営業利益を増やす中での黒字リストラです。8万人の社員の45歳以上の2万人を対象に7月から退職勧奨を行う計画です。2万人の中で3,000人ですから45歳以上の7人に1人に当ります、市内に1万5~6,000人、国内最大規模の玉川事業所があり、影響は避けられないと考えます。
NECのリストラについて、神奈川労働局と情報交換されているのか、その内容について伺います。情報把握後の対応をどのように考えているのか、経済労働局長に伺います。東芝で起きているような労働者を犠牲したリストラを繰り返させないために、本市は今度こそ労働者の雇用・生活と地域経済を守る立場で雇用対策本部を設置し責務を果たすべきです、市長に伺います。
市職員の労働環境についてです。
わが党は、昨年3月議会で、市職員の長時間労働の実態を取り上げ、職員の増員を求めてきました。その後、市は、「働き方・仕事の進め方改革」を策定して1年たち、市長は今定例会の提案説明で「昨年度の職員の時間外勤務の状況は、前年度に比べて1割程度、年間平均時間数が減少するなど、効果が見えてきたところ」と述べましたが、実際、労働環境は改善されたのでしょうか。
2017年度の市職員の長時間労働の実態は、いまだ深刻です。年480時間を超えた職員は307人、過労死ライン月80時間を超えた職員は372人、年1000時間を超えた職員は5人もいます。本来、36協定では、時間外・休日勤務の限度時間は年360時間で、「予見できない臨時または緊急の業務が集中」する場合でも年480時間です。これを超え、さらに過労死ライン、年1000時間を超えて働かされている職員がまだいること自体、大問題です。多摩区役所・保健福祉センター、上下水道局・第2、第3配水工事事務所、交通局塩浜営業所は、17年度に労働基準監督署から勧告を受けています。また、長期療養者数やメンタルによる長期療養者数は、15年度より逆に増えており、復職の相談を除いた職員保健相談室への相談件数は、15年度の2倍以上になっているなど、長時間労働が職員の健康状態にも影響を与えていることがわかります。このような長時間労働、長期療養者の実態をどう考えるのか、市長に伺います。
川崎市の人口は、この10年間で14万人増えているのに、逆に職員は約1200人減らしました。この長時間労働の最大の原因は、必要以上のリストラにより職員を減らしすぎた結果です。職員が足りないという認識はあるのか、市長に伺います。
市は「働き方・仕事の進め方改革」で、36協定の遵守と年480時間超の時間外勤務を行った職場への調査、改善を行うとしていますが、それらの職場の職員は増員されたのか、特に労働基準監督署から勧告を受けた多摩区役所の保健福祉センター、残業時間が年1000時間超の職員がいる総務企画局、健康福祉局は増員したのか伺います。
武蔵小杉のまちづくりについて、伺います。
武蔵小杉のまちづくりの問題は、昨年末のTBSテレビの「噂の東京マガジン」の報道に続き、NHKテレビ「ネタドリ」で、日経新聞で、さらにフジテレビなどマスコミから地元の取材がなされ頻繁に報道されています。
NHKの報道番組では、視聴者の声として、人口減少時代に、増やし続けていいのか、タワーマンションがいずれ廃墟になるか心配などの声がテロップで流れました。このあと福田市長が登場し、NHKの取材班の「まちづくりに問題があるのでは?」という質問に市長は「小杉は便利になった、の声が大方だと思う。高機能のまちづくりに市民から評価をいただいている」と答えておりました。
日本経済新聞は5月9日付けで「タワマン集中、消えぬ住民の溝、武蔵小杉の試み道険し」との見出しで、報道しています。
10年前、再開発地区のコミュニティーの新しい枠組みとして全国のまちづくり関係者から注目を集めたNPO法人もいま岐路を迎えていると報じています。
「当時の想定より大規模マンションが増えた。法人のあり方を再考する時期にきている」との理事長と声を紹介しています。また、古くからの既存町内会・商店街からは「町内会の盆踊りには参加者が数百人から2万人以上に増えたが、マンション住民は運営を手伝ってくれる訳ではない」との声も紹介し、役員の高齢化が進む中で、住民間の「溝」を報じています。これらのことは既存住民にとっても、新しい住民にとっても本意ではない、と思います。川崎市がすすめる都市計画のなかで「溝」がつくられたのです。
人口が急増したなかでの地域コミュニティーをどう構築するか。
市長のいわれる「小杉のまちは便利になった。高機能なまちづくりに市民からも評価をいただいている」との発言と、地域のコミュニティーも含め、まちの実情とは乖離があると思いませんか、市長に伺います。
地域コミュニティーについて、課題を認識しているとしたら、武蔵小杉全体のまちづくりを具体的にはどのようなことで、どのように安心してすみ続けられるまちづくりをすすめようとするのか、市長に伺います。
武蔵小杉駅の問題です。
日経電子版ではこれにさかのぼる4月26日「住みたい街・武蔵小杉の憂鬱、人口急増が生んだひずみ、限界都市」と題して配信がされています。
4月から武蔵小杉駅の混雑対策のために、交通政策室に小杉駅混雑対策担当が設置され、地元からは期待が寄せられています。
横須賀線武蔵小杉駅はこの4月に臨時改札口が設置をされ、改札前にできていた長蛇の列は解消されましたが、同じ時間帯に入場する乗客は増え、東京方面側ホームは異常な混雑になっています。ホームの下では、南武線方面から来た人たちが横須賀線ホームに上がるために長蛇の列をつくっています。
以前から要望してきましたが、横須賀線ホームをもうひとつ整備すること、南武線との連絡通路付近に新しい改札口を設けること、横須賀線、湘南新宿ラインの増便の可能性、相模鉄道の神奈川東部方面線・JR直通線について、武蔵小杉駅への停車は当然と思いますが、それぞれの課題について、JRとはどのような話し合いをすすめてきたのか、進捗について伺います。
ホームドアの設置についてです。国交省は、南武線について、ホームドアの設置で開閉時間が必要となって高密度ダイヤが保てなくなるといいます。南武線は2025年度末までの設置目標を掲げています。また、課題が解決すれば、整備のための補助金を出す、といっていると聞きますが、JRが言う条件整備とは何か。2025年というのは、南武線全体のホームドア設置ということと理解しますが、武蔵小杉駅は特別に急ぐ必要があります。早期設置についての取組を伺います。
総合自治会館用地周辺地域の活用について、まちづくり局長に伺います。
現在ある総合自治会館は、2020年に小杉町3丁目東地区に移転し、現在の建物を解体する予定です。その跡地については、地域住民も注視しています。これまで、自治会館に隣接していた旧中原区消防署の跡地については、地域住民に意見要望が集約されず、説明がないまま施設を整備したという経過があり、地域住民からは行政に対する不信の声がだされてきました。総合自治会館跡地の活用については、より丁寧な対応が求められています。
本市は2014年8月、総合自治会館用地周辺の取り組みの方向性について、国道409号線拡幅により沿道権利者の移転先として、民間活力を導入した共同化事業として、総合自治会会館の跡地が対象とされました。しかし、その沿道権利者は、大半が転出し、当初の共同化事業としての活用方法は見直しが迫られているのが現状です。貴重な公有地は、地域住民にとって思い入れが深く、市民の要望がいかされる最善の活用を行うべきです。地域住民、町内会や老人会では、憩いと潤いのある広場の確保や老人いこいの家、不足する認可保育所の整備などの要望があります。同跡地の活用については地域に開かれた意見交流会を開催し、意見を反映し、合意形成をはかるべきです。伺います。
リニア中央新幹線についてです。
リニア中央新幹線の大深度地下使用許可に関する説明会が5月10日から18日に行われましたが、市民から多くの疑問や不安の声が出されました。
その一つが安全性についての疑問です。リニア中央新幹線は、東京・品川―名古屋間286kmのうち86%がトンネルで、川崎市内については地下40~50mを16.3キロのトンネルで結び、非常口は、麻生区片平、東百合丘、宮前区水沢、宮前区梶ヶ谷、中原区等々力に作られます。リニア建設ルートには糸魚川‐静岡構造線など日本でも有数の活断層が多く存在し、最近も震度5クラスの地震がおきています。当然、トンネル内での落盤、浸水、停電、火災事故も想定されます。運航ダイヤは1時間に5本、上下10本が品川―名古屋間を同時に走行しているわけですから、もし何か事故で止まった場合は、8本がトンネル内で停車します。1本の列車の定員は約1000人なので、緊急停止した場合、約8000人の乗客がトンネル内に閉じ込められるわけです。JR東海の回答では、1本の列車に乗務員が3人程度ということですから、もし緊急停止した場合、1000人もの乗客をわずか3人の乗務員で避難させなければなりません。乗務員は、全乗客に指示を出し、数キロ先の非常口まで線路下の通路を歩き、非常口下部から40m上の地上に出なければなりませんが、非常口にはわずか2基のエレベータしかありません。
このようにリニア中央新幹線は、ひとたび事故や災害があれば、数千人がトンネル内に閉じ込められ、地上と違って脱出することも救出することも困難となります。このような鉄道が公共交通機関としてふさわしいのかが問われています。
大深度法の「安全の確保に関わる指針」では「円滑な救助活動や負傷者の搬送のための消防隊員の確保、施設管理者と救急・救助関係者の協力体制の構築」などの対策を講じることとしていますが、その計画はありますか、また、JR東海とは、どのような協議や情報提供がありますか、消防局長に伺います。
リニアルート上の地権者の土地所有権についてです。
土地の所有権は、原則「地権者の所有権は上下に及ぶ」と民法第207条で規定され、JR東海も「大深度地下にも土地所有権が及んでいる」と答えています。また、国会でのリニア新幹線の大深度地下使用許可についての質疑では、大深度地下使用の許可を受けている東京外環道で当初「土地利用に制限を課すこともない」としていたにもかかわらず、同時に都市計画事業も認可されたため建設制限がされ権利侵害された事例が紹介されました。しかもこの場合、地権者は建築物を建築する場合に許可を要し、土地・建物を売買する際には届け出をしなければなりません。さらに国交省の都市局長は、大深度地下使用の許可のみの場合でも土地利用が制限される可能性は「皆無ではない」と答弁するなど、地権者の権利が侵害される場合があることを明らかにしました。リニアの川崎市内のルート上で、東京外環道のように将来、都市計画事業の網をかけるということはないと言い切れるのか、伺います。地権者は、土地利用に関して制限される場合がないと言い切れるのか、伺います。土地・建物を建設や売買する場合、許可やJR東海への届け出義務がいるようなことはないのか、伺います。
2015年の国会質疑では、「地下30m以上についても個々の地権者の同意や承諾が必要では」という質問に対して、法務省審議官は、同意なく開発行為を行えば「土地所有権の侵害に当たる」と答弁。さらに当時の太田国交相は「地元の声に十分に配慮しながら工事を進めるよう、JR東海を指導監督していきたい」と答えています。JR東海は、リニアのルート上の地権者に対しては、井戸があるかどうかの聞取りをしただけですが、国会の答弁通りにすべての地権者に対して承諾が必要ではないですか、伺います。東京外環道では、事前の家屋調査がやられていますが、川崎市もJR東海に対して事前の家屋調査をやるよう指導すべきではないですか、伺います。
東扇島堀込部埋め立て土地造成事業について伺います。
こんなに危険性や問題点が指摘されているリニア中央新幹線の建設工事が、川崎市内では淡々と進められるのは、他の地域では最大の難問になっている、トンネル掘削工事で発生する大量の残土の処理について、東扇島堀込部埋立土地造成事業で受け入れることを市長とJR東海が、いち早く約束したからです。元々、市内の学校建設など公共事業による建設発生土を処理するための市民の財産だった公有水面を提供して市が残土を受け入れることは、問題だらけのリニア中央新幹線の建設促進に加担・協力することにならないか、市長の見解を伺います。
堀込部埋立事業の当初の目的として、まず、「増加する輸出用完成自動車を保管するためのストックヤードが不足している」としていたことについてです。川崎港からの完成自動車の輸出量はこの間、減少傾向で、2017年度の実績はピーク時だった2014年度実績の56%まで落ち込んでいます。これは主に大手自動車会社の立体モータープール解体の影響ですが、このように完成自動車の輸出量や保管場所・用地の必要性は、自動車メーカーや関係業界の動向に大きく左右されることが明らかになりました。
また、「平成37年における取扱貨物量は約40万TEUとなる見込みであり、そのためにはコンテナ関連用地が不足する」としていたことについてです。今年5月に発表された、2017年の川崎港統計年報の速報値によると、川崎港コンテナターミナルのコンテナ貨物取扱量は11万8千余TEUで前年より約1万8千TEU増加しましたが、増加分の75%は空コンテナです。コンテナ取扱量全体に占める空コンテナ数の割合は、2011年の20%から、2017年には33%に増加。6年前に「5個に1個」だった空コンテナが、昨年は「3個に1個」の割合に増えています。荷物がないコンテナが圧倒的に増えているのに、コンテナ貨物が順調に増加していると言えるのでしょうか。7年後には今より約4倍の40万TEUに増える見込みは完全に破たんしています。
堀込部埋立事業のために持ち出された当初の目的は、こうした実態からも、ことごとく破たんしているのではないですか、港湾局長に伺います。
羽田空港新飛行ルート案について伺います。
新飛行ルート案以外の方法で対応可能であるという点についてです。新飛行ルート案は、羽田空港と成田空港の24万回増便計画が基になっています。その内、井桁状に滑走路が重なる羽田空港では、飛行ルートを変更してどんなに頑張っても、約16%分しか増やせません。約84%は成田空港での増便です。
中でも、南風時に渋谷区、品川区、大田区と都心のど真ん中を東京タワーよりも低い高度での着陸し、大師地域に耐え難い騒音をまき散らし、危険な臨海部石油コンビナート地帯へ離陸することをセットにしたルートは全体の4.6%です。4.6%分の増便のために、わざわざ市民の命と安全を危険にさらすルートを選択するのではなく他のルートや方法を検討すべきではないでしょうか、市長の見解を伺います。
次に、発着回数にすることで、空港管制の過密化に対する懸念についてです。現在、羽田空港の1時間当たりの発着回数が80回ですが、新飛行ルート案では、滑走路を増やさずに、運用面の見直しによって発着回数を90回に増やす計画です。
東日本大震災において、仙台空港が津波で閉鎖された際に、羽田空港も地震被害の調査点検のために一時的に閉鎖され、解除された後、航空機を下すためにぎりぎりのオペレーションが繰り広げられ、空の大惨事をかろうじて回避できたということでした。こうしたことを踏まえ、これ以上の過密化に対して安全性の懸念がありますが、市長の見解を伺います。
臨海部ビジョンの「交通機能強化プロジェクト」と川崎アプローチ線についてです。
川崎臨海部の交通機能の現状と課題の中で、「現在の交通体系は川崎駅からのバス交通への依存から川崎駅前広場及びピーク時のバス車内は混雑しており、通勤環境が課題」とされているとしていますが、それに対しては、京急線を利用するルートや、急行バスを走らせるなど、市営バスや臨港バスそれぞれ対応しています。しかも、かつての最盛期よりも臨海部で働く労働者は大幅に減り、産業再編の中で、今後も減ることが予測されています。その上で、ここで指摘される「通勤環境の課題」というのは何を指しているのでしょうか、伺います。具体的に、何時台、どのくらいの車両で、どのくらいの混雑を生み出しているのか伺います。
次に、「鉄軌道については、JR南武支線が脆弱であることから輸送力増強を含めた改善が必要」ということについてです。まず、輸送力が脆弱という根拠について、1日の輸送力に対して、現在の南武支線利用者数を伺います。
また、輸送力の脆弱性を指摘する前に、南武支線上下線一日78便に対して、例えば市営バスでは、同様の路線で平日一日296便のバスが走っています。市営、民間合わせてバス路線で十分にカバーされていると考えますが、どうして脆弱性を強調し、改善が必要とするのかその理由について伺います。
「マイカー通勤の割合が高く、公共交通への転換を促す必要」があるとしていますが、どのような調査結果を根拠に「マイカー通勤の割合が高い」としているのか、伺います。羽田空港へのアクセスは元々、鉄道・公共交通機関が充実しているのに、わざわざマイカー利用を増やす羽田連絡道路を整備していることと、マイカー通勤から公共交通への転換を促すというのは矛盾していると思いますが、見解を伺います。
川崎アプローチ線についてですが、交通政策審議会で示された総事業費300億円は、国が「大づかみで把握するための建設費」で、「路線延長に一律単価を乗じて簡易的に算出した」ということです。ということは、300億円以上に整備費が膨らむ可能性が高いということではないでしょうか、伺います。
以上で質問を終わります。