市政と市民のくらしを結ぶ
議会報告

財政は豊かなのに市民に冷たい予算と批判〜石田議員が代表討論

IMG 54792018年第1回川崎市議会定例会の3月16日、日本共産党を代表して石田和子議員(高津区)が討論を行いました。

石田議員は、予算案の特徴と財政状況について、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っているけれど、社会保障関連経費である扶助費は政令市平均以下で抑えられる一方、臨海部の不要不急の大規模工事には174億円も支出するなど、市民に冷たい予算になっていると指摘し、小児医療費助成制度を中学卒業まで拡大し通院も入院も所得制限を撤廃すること、全庁あげた公有地を活用した認可保育園の整備、せめて小学3年生と中学1年生の35人以下学級の実現、1年以内に入れる特別養護老人ホームの整備計画への見直しなど、求めました。

「臨海ビジョン」や、市基金条例の一部を改正する条例の制定、介護保険条例の一部を改正する条例の制定、介護医療院の人員や設備・運営の基準に関する条例の制定などには、中止、反対を表明しました。

石田議員の討論原稿は次の通りです。(議事録ではありません。)

代表討論

 私は日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の施政方針並びに予算案を含めた諸議案について討論を行ないます。

予算案の特徴と財政状況についてです。

新年度一般会計予算案は、市税収入が5年連続で過去最高となり、財政力指数は、政令市トップで、2年連続、政令市で唯一の普通交付税・不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良です。一人当たりの市債残高は、政令市の平均より10万円も低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。減債基金残高は、取崩額、いわゆる返済額よりも100億円積み増しをして2305億円となり、一人当たりにすると政令市平均の1.8倍に達します。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標、市債残高、減債基金残高のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力をもっています。歳出の特徴としては、社会保障関連経費である扶助費の額は政令市の平均以下と抑えられ、一方、臨海部の不要不急の大規模事業には174億円も支出するなど、市民に冷たい予算となっています。
 市長は「財政が厳しい」という理由に「196億円の収支不足が出ている」ことと、「減債基金からの借入」を挙げていました。しかし、これは、減債基金への積立額を減らして対応すれば、収支不足も出ず、借り入れる必要もないわけです。これのどこが問題なのでしょうか。この方法で対応しても減債基金残高は2109億円で取崩額の7年分です。収支フレームで収支不足が出ている期間続けても9年後には2520億円、取崩額の7年分で、何の問題もありません。10年後以降の減債基金の残高を見ても2500億円を下回ることもなく、償還財源が不足するような事態は起こりえません。「財政が厳しい」という根拠は、何一つないことは明らかです。
 代表質問の質疑で、私たちは、市の減債基金残高が取崩額の7年分もあることを指摘して、「それでも、なぜ積立ルールを優先するのか」と質問。答弁は、「ルール通り積み立てないと、収支不足が明らかにされず、財政状況の実態が見えにくくなり」、ひいては財政規律が損なわれ、歳出が増大するからということでした。まさに作られた収支不足です。その目的は、福祉暮らしの予算を抑制する、行革のためであり、不要不急の大規模事業の財源確保のためではないでしょうか。
市民要求を抑えるための見せかけの収支不足を演出する手法は止めるよう強く求めておきます。

小児医療費助成制度についてです。

 相模原市や横浜市など、通院の助成対象を中学校卒業まで拡大する他都市の動きを紹介し、「通院助成は小学校6年生までで、1歳から所得制限があり、一部負担金もある」という本市の制度は、首都圏の都市部でも県内33市町村の中でも最低となり、20政令市の中でも最低レベルという現状認識について、議会答弁では市長も否定しませんでした。政令市トップクラスの財政力がありながら、子どもの医療費助成は全国最低レベルという事態について、市民は納得できません。本市でも、一刻も早く、他都市並みに、中学校卒業まで拡大し、通院も入院も所得制限を撤廃することを強く求めておきます。

保育所の待機児童解消についてです。

定員を昨年より1,896人増やしたものの、入所申請の増加等により、1月26日現在の保留児童数は3,747人で過去最多となりました。第8希望まで書いてもだめだった等、今年も深刻な声が寄せられました。利用可能な川崎認定保育園や年度限定型保育園などを利用案内していると答弁がありましたが、いずれもまた来年度の申請をする可能性は大きく、待機児解消するには保留児に見合う認可保育園の増設が必要となることを指摘しておきます。新年度の定員増の計画ははじめて2千人超えて2350人ですが、公有地活用型の整備はゼロ、民有地活用型も5園、320人だけで圧倒的に多いのは民間事業者活用型1,350人です。この手法は園庭の確保の困難性があり応募の手が確実にあがるかは不安定です。「公有地を最大限に活用すべき」の質問に、子ども未来局長は「今後も立地条件や利便性、周辺の保育需要等を勘案し、利用可能な資源を最大限に活用するため、保育所整備が可能と思われる公有地について関係局と協議を進める」と答弁されました。是非全庁あげて公有地を活用した認可保育所の整備を求めます。

少人数学級の拡充についてです。

既に16政令市が中学校含めて川崎より進んだ少人数学級を実施、仙台市は2018年度に中学1年生から2年生に、19年度には中学3年生へ35人学級を拡大するとのことです。川崎は各学校の実情により、指導方法工夫改善定数を学級担任に振り分けて少人数学級を行なっていますが、この研究指定校ではほぼ全校からクラスが落ち着いた、こどもの発表する機会が増えたなど効果がみられる報告書が出ています。こどもたちに行き届いた教育を行なうこと、教師がこどもに向き合う時間を確保すること、不登校児童生徒の解消に向けて、少人数学級の拡大に踏み出すことを質したことに対し、今議会でも国の義務標準法の改正等を国に強く要望するとの答弁でした。しかし、学級編成基準、教職員定数の決定権限がすでに政令市にあるのですから、せめて、小学3年生と中学1年生の35人以下学級の実現を強く求めておきます。

就学援助についてです。

条件を満たしているのに「就学援助を利用していない」という世帯が51%にのぼる本市の状況をふまえて全市民的な制度周知を行うこと、就学援助の認定基準を広げること、生活保護基準の引き下げと連動させず今就学援助を受けている世帯が引き続き受けられるようにすることを求めました。認定基準と制度周知については拡充せずこれまでどおりに行うという答弁で、生活保護基準引き下げとの連動については「適切な援助のあり方を検討する」との答弁でした。
貧困線が下がり続けているなかで、機械的に生活保護基準に就学援助制度の基準を連動させれば、現在制度を利用している世帯にとって生活実態はまったく改善していないのに就学援助は受けられなくなるという実態を招くことになります。大田区の事例に学び、生活保護基準の引き下げに連動させないよう強く求めます。

特別養護老人ホームの増設についてです。

特別養護老人ホーム入居申込者管理システムについては、複数の申込先の一括申請化の導入などを進めることは、わが党が求めてきたものですが、これまでも繰り返し指摘してきたように、3000名を超える待機者、2年以上の長期間待機している方が53%と半数いる実態が明らかになっています、特養ホームの増設は喫緊の課題です。先ずは1年以内に入居できる整備計画に見直しすべきです、あらためて求めておきます。

市内中小企業への支援策についてです。

製造業や建設業の事業所の減少が進み、「事業継続」への支援強化が喫緊の課題となっています。しかし、製造業の分野では、「販路開拓事業費補助金」や「産学共同研究開発プロジェクト補助金」の減額など、「事業継続」に役立つ予算は減らされています。建設業の支援についても新たな充実策はありませんでした。
そこで、地域経済の活性化策として、他都市で実施されている「住宅リフォーム助成制度」について提案しました。建設業の役割について、経済労働局長は「インフラ整備・維持の担い手であり、地域の雇用を支えるなど、重要な役割を担っている」と答弁し、技術の継承が困難になっている現状に対しても「後継者の育成は、大変重要」と実態の深刻さを認める答弁を行いました。また、「まちの工務店に結びつくのか」など、市が制度導入の課題としてきた点についても、「対策は可能」と事例を示し見解を求めました。しかし、まともな答弁はなく、市長も「事業者自らが継続的に受注を確保できるよう支援を行う」という従来の答弁の繰り返しでした。
「住宅リフォーム助成制度」は、市内のリフォーム需要を市内事業者に結びつけることで、地域経済活性化とまちづくりで重要な役割を担う建設業の事業継続と技術継承をもたらすものです。本市での実施を改めて求めておきます。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。

2018年度予算案では、正規雇用などにつなげるとする事業は、358万円減りました。2年連続減で合計800万円余の削減です。
正規労働者を拡大するための「キャリアサポートかわさき」運営事業業務委託仕様書に正規雇用としての位置づけがないことから、変更して明確にすることと、本市として正規雇用の目標数を持つべきと質しましたが、「多様なニーズに応じて求人開拓を行って」いることから、仕様書の変更はしないとし、正規雇用目標については、「雇用形態に合わせた多様な働き方の促進を図」り、「総合的な就業支援」を行っているから、正規雇用の目標はもたないという答弁でした。「キャリアサポートかわさき」において正規雇用を基本とするなら、せめて仕様書に正規雇用を位置づけるように内容を変更し、本市として正規雇用の目標数を明確にすべきことを求めておきます。
 また、この4月からの無期雇用者に該当する求人開拓員の対応について質しましたが、制度について様々な周知に努めているとの答弁でした。市の事業として実施する以上、専門性継続性をもつ要となる求人開拓員の雇用契約について踏み込んだ対応をすべきであることを指摘しておきます。

東芝のリストラへの対応についてです。

本市に本社がある東芝デジタルソリューションズで300名、インフラシステムズとエネルギーシステムズ社で各50名、合わせて400名のリストラを今月末までを期限に進めています。今まさに、リストラ対象者に対し個別面談が行われており、転職先として派遣会社を紹介するなどの退職勧奨が行われています。リストラ業務を担わされている部長たちが頻繁に会議を行い「退職勧奨を行う直属の上司は、安易な姿勢では使命を果たせない。目的達成への強い決意が必要」とリストラ人数の目標達成に駆り立てられ、担当の上司も良心を捨てざるを得ない状況に追い込まれているといいます。 
長年に渡り会社に尽くしてきた53才、50才の社員を首切り同然に退職を迫る非情なやり方は社会的にも許されるものではありません。私たちは、市長は雇用対策本部を設置できる権限を行使し、働く人たちの権利・尊厳を守るよう対応を求めてきましたが、市長は「国等の権限や責任のある機関が、適切な措置を講ずるべきもの」というだけで、この事態の認識、働く人たちに寄り添う姿勢を欠いた答弁でした。今すぐにでも、権限を行使して雇用対策本部を設置するよう求めます。

臨海部ビジョンについてです。

臨海部国際戦略本部の予算は、前年度比41.7%増の8億6987万3千円が計上され、そのなかで臨海部ビジョンに位置付けたリーディングプロジェクトの各取り組みを推進することとしています。
その一環で、交通ネットワークの形成推進として、川崎アプローチ線等の具体化に向けた取り組みと戦略拠点の形成推進として南渡田周辺地区における新産業創出拠点の形成に向けた土地利用の検討を進めるとしています。
2016年7月に行われた国の交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会において、収支採算性に課題があるため、関係地方公共団体等において採算性の確保が必要な需要の創出につながる沿線開発の取り組みを進めた上での事業計画の検討に期待しています。
しかし、需要創出のための沿線開発には、莫大な投資が必要で、不用な赤字路線整備のためにさらに莫大な投資を行うなどというのは本末転倒です。
そもそも整備する理由は、大企業の要求をまとめた「臨海部ビジョン」に位置付けたからということでした。
そのために、竣工からまだ4年しか経っていない「ふれあいプラザ川崎」や既存住民を立ち退かせても、何が何でも事業化を具体化するというのは異常です。
また、南渡田地区における拠点形成については、キングスカイフロントに続く臨海部の機能転換をけん引する新たな戦略拠点と位置づけ、キングスカイフロントで川崎市が約3.8haもの土地を約70億円かけて取得した手法を用いることも否定しませんでした。
 市民には、偽りの収支不足で財政が厳しいと見せかけながら、臨海部企業の求めには、例え事業採算が取れなくても新たな鉄道を整備する。川崎市が土地を取得してでも何が何でも推進する。このような異常なやり方は、中止すべきです。強く指摘しておきます。

議案第2号 川崎市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてですが、わが党は、より深刻なプライバシー侵害や犯罪を招く恐れのあるマイナンバー制度導入に反対してきました。本議案はマイナンバー制度の利用を拡大す
るもので賛成できません。

議案第3号 川崎市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定についてです。

市職員の定数を56人削減するという議案です。わが党は、昨年の3月議会で、市職員の長時間労働と健康破壊の問題を取り上げ、2015年度、残業が年1000時間を超えて働いた職員が28人、「過労死ライン」とされる月80時間以上残業した職員が528人、5年間の長期療養者のうちメンタルヘルス不調が728人も出ていることを明らかにしました。10年間で人口が15万人増える中で市職員を1500人以上削減してきたことが大きな原因であることを指摘して、必要な市職員の増員を求めてきました。市の人口が増える中では、市職員を増やすことこそ必要ですので、反対です。

議案第5号 川崎市基金条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案は、児童養護施設の入所者への学習や進学の支援を行うために競輪競馬の収益金や寄附金からなる基金を設置するものです。
どんな環境に生まれ育ったかに関わらず、すべての子どもに対し健康で文化的に生活し、学び発達できるように条件を整えることは、国・地方自治体の役割です。児童養護施設の子どもたちには退所後も含めて手厚い支援が必要不可欠です。しかし高校卒業者が進学する割合は、全体では71%ですが、児童養護施設の子どもたちの場合は27%と大きな差があるのが現状で、この学びの場につく条件の格差を、市自身の制度や事業によって解消することこそが喫緊の課題です。
手厚く教育を受ける権利を保障されるべき児童養護施設の子どもたちに対する学習・進学等を支援する事業は、市が公的責任として直接行うべきであり、競輪・競馬事業の収益金や寄付による基金に頼るべきではありません。この立場からこの議案には賛成できません。

議案第11号 川崎市国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定についてです。

国保事業を都道府県と市町村が共同で運営する事業としたのは、都道府県から市町村に、給付費抑制、収納率向上、法定外繰入解消を指導させるというのが制度導入の狙いです。今回の国保条例の一部改正は、国保制度の仕組みを改変する最初の条例改正であり、高すぎる保険料など国保制度の持つ構造的な矛盾解決には程遠いものです。
 以上のことから、議案には賛成できません。
ただし、国民健康保険事業特別会計については、2018年度も17年度と同額の法定外繰入をして、保険料の上昇を抑えたいと表明しています。6月に保険料が決定されますが、必ず実行されることを求めておきます。激変緩和措置については、国はこれをやめるようにとは言っていないと答弁されました。川崎市は独自の努力で保険料の引き上げは極力抑えていただきたい、このことを要望し、議案第55号国民健康保険事業特別会計予算には賛成します。

議案第13号 川崎市介護保険条例の一部を改正する条例の制定についてです。

介護保険制度のいまの仕組み上、3年ごとの見直しによって必ず上昇するのが保険料です。川崎では介護保険準備基金のほとんど47.5億円を取り崩し繰り入れた結果、基準額で285円の値上げでした。すでに値上がり前から高齢者をとりまく状況は、年金額の減少で可処分所得が下がり、圧倒的多くの高齢者にとって保険料の負担は重いものになっていたことは、川崎市が行ったアンケート結果からも明白でした。保険料の値上げを抑えるために、あらゆる努力をすること、すでに全国10の自治体で実施している一般会計からの繰り入れをしてでも保険料のこれ以上の値上げはやめるべきです。そのことから議案には賛成できません。 
さらに国からの公費負担は25%ですが、うち5%分は調整交付金で、川崎には実質22.7%しか交付されていません。介護保険料はもう限界にきています。さらに、公費負担を手厚くしなければ、介護保険は崩壊します。公費負担の増額を国に要望することを要望いたします。さらに川崎市独自の介護保険料、利用料の減免制度を拡充することも要望しておきます。

議案33号 港湾施設の指定管理者の指定についてです。

この議案は、コンテナターミナルの運営を横浜川崎国際港湾・川崎臨港倉庫埠頭共同事業体に行はさせるものです。横浜川崎国際港湾株式会社は、2016年1月に設立され、同年3月に京浜港における港湾運営会社の指定を国から受けました。この会社の設立には、国・横浜市・川崎市が出資し、本市は4500万円の出資金を出しています。わが党は、すでに、川崎臨港倉庫埠頭株式会社が指定管理を行っており、出資金を出し、経営統合する必要はないと出資と会社設立に反対してきました。港湾施設の指定管理者指定についても反対した経過からも、本議案には反対するものです。

議案第39号平成30年度川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算については、高齢者に差別医療を持ち込む後期高齢者医療制度に反対の立場から、賛成できません。

議案第59号川崎市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の制定についてです。

介護療養病床の受け皿として、創設されるとしています。介護医療院は生活の場であり、看取り、ターミナルケアの場であるとして、2つの施設類型が示されています。
 介護療養病床の医療水準は維持するとしながら2型は、人員配置は老健施設と同様と聞きます。医師は利用者100人に対して1人、しかし当直は不要で、1型は併設病院との兼任も可としています。
 床面積は療養病床は1人当たり6.4㎡以上ですが、介護医療院は8㎡以上と若干広くなるが、療養病床からの転換なら、基準は緩和するといいます。
 厚生労働省は、介護医療院を「地域医療構想」により削減される病床の受け皿とすることを国会の質疑でも認めています。介護療養病床の入院している人の8割以上が退院できない、と厚労省のアンケートに回答していると聞きます。
 基本的には介護保険でまかなう介護医療院です。医療を必要とする高齢者の安上りの受け皿になってはならない、と思います。さらに生活の場として長期滞在は可能なのか、今後決まる介護報酬にもよりますが、早々に退院を迫られるのではないか、という懸念も払しょくできません。よって、この議案には賛成できません。

議案第63号 川崎市指定通所支援の事業所等の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案は、共生型サービスの導入に関するものです。
共生型サービスは障がい者と高齢者への支援を同一事業所で、行うもので、介護保険優先の原則を堅持するものとされました。
障がい者が65歳以上になっても、使い慣れた事業所においてサービスを利用しやすくするという観点や、福祉に携わる人材に限りあるなかで、地域の実情に合わせて、人材をうまく活用しながら適切にサービス提供を行うという観点から、介護保険又は障がい福祉のいずれかの指定を受けた事業所がもう一方の制度における指定を受けやすくするために共生型指定障がい福祉サービスや指定通所支援について基準を定めるとしています。
すでに高齢者事業所では、障がい者の受け入れは行われていますが、生活介護では、介護認定を受けて、介護保険でのサービスを受けます。いままで受けていたサービスのうち、介護保険で不足する部分は障がい者施策で補って、サービスそのものは維持できますが、利用者は介護保険部分には一割負担が発生しています。今回、1割負担分について、償還払いが導入されますが、4つの基準をすべてクリアしなければなりません。福祉に携わる人材に限りがあるなかで、というのも不安があります。
結局、介護保険優先原則による共生型サービスは、高齢障がい者のサービスの打ち切り、縮小、定率負担を課せられるなど、高齢障がい者の生活や生存を脅かすものになる危惧を抱かざるを得ません。障がい福祉を介護保険を基本とする制度に統合する動きもくすぶっています。そういうことも含む国の法律による省令改正であり、この議案には賛成できません。

また、同時に共生型サービスに係わる、議案第67号川崎市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について 議案第71号川崎市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について 議案第72号川崎市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について 及び議案第77号川崎市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定予防介護サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定についても賛成できません。

以上の立場と予算組み替えとの関係から日本共産党は、議案第2号、議案第3号、議案第5号、議案第11号、議案第13号、議案第33号、議案第34号、議案第35号、議案第39号、議案第41号、議案第42号、議案第46号、議案第49号、議案第50号、議案第59号、議案第63号、議案第67号、議案第71号、議案第72号、議案第77号に反対し、その他の議案、報告、請願については賛成及び同意することを表明して討論を終わります。


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