渡辺治講演会開く
12月9日「安倍政権がねらう憲法9条改憲とは 新たな改憲勢力(希望の党)の地方自治法改定とは。今こそ憲法改悪を阻止する市民のかつてない共同を」と題して、渡辺治一橋大学名誉教授の講演会を日本共産党川崎市会議員団が主催しました。
渡辺先生は、まず、安倍改憲の出発点である5月3日の安倍改憲提言は何を狙っていたのかを分析。当初の解釈改憲先行戦略、すなわち、既存の政府解釈の変更による「戦争する国」づくりを目指し、戦争法の強行採決を行なったが、依然として憲法9条の壁があることから、明文改憲に意欲。また、戦争法反対で市民と野党の共闘により野党第1党を改憲に巻き込む戦略が破綻。市民と野党の共闘を前提にすると解散・総選挙は打てない。そこで、打破の決め手として9条2項削除論を放棄し、3項に自衛隊を明記すると発言。つまり、5・3改憲提言の狙いは、解散・総選挙抜きの現行衆参の議席下での改憲実行(2018年通常国会で発議、秋に国民投票)のため、公明の9条加憲論、維新の会の教育無償化を取り込むことにあった、と喝破。
ではなぜ、安倍首相は解散・総選挙に打って出たか? それは、都議選での自民党の敗北の一方、民進党の都議選敗北と市民と野党の共闘見直しを掲げる前原代表の登場、共闘分断の小池新党希望の党の創設、北朝鮮の弾道ミサイル核実験という有利な情勢が生まれことから。解散・総選挙の衝撃で共闘を分断し、改憲を争点にして総選挙を経て国民合意を取り付ける体裁をとった。総選挙の結果、安倍首相の狙いは市民と野党の共同を一度は分断して半分成功したが、立憲民主党の結党・躍進、希望の失速で半分失敗したと指摘。したがって、決着はこれからに持ち越されたと。
たたかいはこれから。安倍改憲を阻むかつてない共同をつくり、かつてない運動をつくらなければならない。そのため、3000万署名をやりあげることが決定的であると強調。総選挙で立憲3党の比例選得票数は1643万、戦争法廃止1560万だが、安倍首相の地元、山口県の希望支持者の65%、公明党の32%、自民党の15%が9条改憲反対という出口調査の結果などを紹介。展望はあると話されました。そして、運動の目標は発議阻止、国民投票の前に潰すこと。9条自衛隊明記の危険性を市民に知らせる運動を広げに広げ、その先頭に立とうと強調して講演を終えられました。
最後に、私たちがなすべきことについて訴えられた。安倍改憲を阻むかつてない共同をつくり、かつてない運動をつくらなければならない。そのためには、安倍9条改憲NOの運動にどれだけ市民が立ち上がり賛同するかが鍵だと強調された。改憲阻止の共同の力で憲法を実現する日本へ、いまこそ、運動の出番 地域で市民アクションを 3000万署名の先頭に、と強調して講演を終えられた。<参加者の質問に答えて>
① 北朝鮮の問題 → 話し合いの方向しかない
② 公選法と国民投票法との関係 →改憲手続法は権力者に有利な欠陥法 「国民投票で決する」論の危険性
③ 立憲民主党と統一会派を組む元民進党の山尾志桜里衆院議員の憲法改定案について
個別的自衛権に限定して自衛隊を憲法に規定 →「新9条論」と共通なきわめて危険な案
・憲法が生きている現実を死んだと評価する誤り・全ての侵略戦争は個別的自衛権の行使名目でなされた
・戦争法に基づいた権限行使を認めるばかりか拡充するお墨付きを与えるもの
・自衛隊の抑制は憲法に明記することでできるわけでなく、市民運動で憲法を完全実施させることでできる
・市民運動に対する確信がないことが前提としてあるのは致命的な誤り。当日は、会場に入り切れないほど沢山の方々が参加してくださり、廊下で立って聞かれる方も見られました。憲法9条改悪の危機に黙ってはいられないとの思いで駆けつけてくださった皆さまに、市古映美市議団長から感謝と同時に、椅子がなく直接会場の床や廊下の床に座って講演を聞かれた方々にお詫びを述べて終了しました。