教育委員会は市民の知る権利保障を~渡辺議員が代表質問
2017年第2回川崎市議会定例会で6月15日、渡辺学議員(幸区)が日本共産党を代表して質間しました。
渡辺議員は、教育委員会会議の音声データの消去について、教育委員会の責任を最後まで追及。この問題は、2014年8月17日・30日の市立高校の日本史教科書の採択が議題となった教育委員会会議について、傍聴者が音声データの開示を求めたことが発端。開示請求者の話では、議事録では、傍聴者のメモと異なり、委員が発言したことが載っていなかったり、逆に発言していないことが掲載されているとのことで、これが本当ならば事は重大です。ところが教育委員会は当初から開示を拒否。それどころかデータ消去という暴挙に出ました。答弁では、市民からの開示請求、異議申し立て、情報公開・個人情報保護審査会からの答申を受けてもなお、最後まで組織としての責任を認めませんでした。
渡辺議員は「今回の問題で明らかになったのは、教育委員会が市民の知る権利を保障する立場に立っていないということです。教育委員会として猛省し、市民の知る権利を保障する立場に立ち切ることを強く求めておきます」とに強く指摘しました。
また渡辺議員は東扇島堀込部の埋め立て事業について、市の資金計画の曖昧さを追及。この事業は、国の直轄事業・補助事業など港湾整備事業の対象とならなず、造成地の分譲による収益等の見込みがないことから地方債における償還は困難であることから、港湾局は当初、事業費用を全て埋立用材の受入料金に転嫁して、資金調達するとしていました。そうすると140万立米の受け入れ土は少なくとも、立米単価を1万6千円から1万7千円にしなければなりません。ところが、浮島における公共残土の受け入れ費用は、立米あたり約4千円です。この単価だと、総事業費240億円のうち180億円~200億円の確保は目途が立ちません。
渡辺議員は「『一般財源に負担をかけない』としていた資金計画の考え方と大きく矛盾する事態になります。そのような見通しになれば、事業をやめるという判断をするのか」と追及しましたが、港湾局長は「本市の負担を極力かけずに早期に土地造成を完了させる手法を整理する」として明確な答弁を避けました。
また多様な性の在り方に対する施策つていも取り上げました。
渡辺議員の質問予定原稿(初回)は次のとおりです(議事録ではありません)
日本共産党代表質問
私は、日本共産党を代表して2017年第2回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行います。
本日朝、国民の内心を処罰する憲法違反の希代の悪法である「共謀罪」を、自民・公明・維新の党で強行採決しました。圧倒的多くの法学者、弁護士会、知識人、そして国民の反対を押し切り、国会のルールも踏みにじる議会制民主主義を破壊する蛮行であり、満身の怒りを込めて糾弾するものです。
最初に核兵器廃絶、平和の問題について、市長に伺います。
核兵器を禁止する法的拘束力ある協定を交渉する第1回国連会議が、今年3月に開催され、核兵器禁止条約に向けて歴史的第一歩を踏み出しました。参加国は115か国を超え、大多数の国が速やかに禁止条約を作ることで一致し、第2回国連会議で7月7日の採択をめざします。今年中にも、人類史上初の核兵器禁止条約が誕生する可能性が大きくなりました。これにより、核保有大国は、政治的・道義的拘束を受けることになり、さらに締約国の領土に核兵器を持ち込むことは禁止され、核保有大国の核戦略を軍事的に拘束し、破綻させる可能性を持っています。この核兵器禁止条約の締結は核兵器を禁止するだけではなく核兵器廃絶につながる意義を持っています。
しかし、唯一の被爆国である日本政府は、会議に参加しながら、核保有大国に追随して交渉に参加せず、核兵器禁止条約に対して反対論を述べたことは、NPT再検討会議で確認した「核兵器のない世界」への誓約を破ると同時に、被爆国の政府としてあるまじき態度です。全国に先駆けて「核兵器廃絶平和都市宣言」を行った都市の市長として、核兵器禁止条約の締結に賛成すべきと考えますが、見解を伺います。核兵器禁止条約の締結に反対し、核兵器廃絶に背を向けている日本政府に対して、その姿勢を改めるよう、市として求めるべきと考えますが、市長に伺います。
保育所の待機児解消についてです。
4月1日現在の認可保育所等の定員は昨年比で1,847人増の26,586人に対し、利用申請数は昨年比で2,314人増えて29.890人にのぼり、入所できなかった保留児童数は、定員を超えて入所を受入れてもなお、2,891人となりましたが、待機児童はゼロと発表しました。申請数、保留児童数いずれも過去最多となり、利用申請者の約1割(9.67%)が入所できませんでした。今年4月の政令市実態調査で、本市は申請しても入所できなかった割合は政令市でワースト1位であり、実数では横浜市に次いでワースト2位です。マスコミも「隠れ待機児童、過去最多」と一斉に報じました。
わが党はこの間、入所申請して入所できなかった人数を待機児童とすべきであり、少なくても本市が待機児童に含めていない・保護者が育児休業中、求職活動中等について、待機している具体的な実態をあげて待機児童にカウントすべきと繰返し求めてきました。新年度、国が待機児童の新定義を示しましたが、育児休業中の保護者の子どもについて、「保育所に入所出来た時に復職する事を確認出来る場合」には待機児童に含める事とし、入所保留通知発送後などにおいて、「復職を確認できない場合」には待機児童に含めない事としました。本市は4月1日時点で産休・育休を取得中の申請数は331人ですが待機児童に含めていません。331人が入所できた時に復職することを確認できなかった人数なのか伺います。本市は保留通知発送後に約2週間、平日夜間及び土曜日にも相談にのる事を含めアフターフォローを行なっていますが、331人のうち復職の意向を持つ方は何人くらいと見込んでいるのか伺います。
今回、県内では、本市をはじめ定義変更に対応できなかった10市町を除いて藤沢市、座間市、海老名市、厚木市などが新定義で算出し、待機児童の増加の要因になったとの報道がありました。育休は復職を前提にしていますから大半は待機児童になると考えます。10月1日現在の発表は新定義に基づき算出すべきと考えますが伺います。
2017年度の保育所整備等の取組についてです。
子どもの未来応援プランに示されている2017年度の保育の確保方策は、保育所、認定子ども園で26,846人、地域型保育で1,156人、合わせてこれら認可保育園で28002人を確保する計画です。しかし、今年4月の認可保育所の利用申請は、29,890人で、申請数が計画よりすでに1,888人も上回っています。計画の中間年度である今年度中に計画を見直す事としていますが、保育ニーズが近年、ますます増大しています。実態を反映し認可保育園の確保方策を上方修正すべきです。伺います。
政令市で自前の園庭がない認可保育園について調査したところ、本市が最も多く、私立保育園280カ所、総定員21,150人中85カ所、総定員4,070人が園庭のない保育園でした。次が横浜市59カ所ですから本市が突出して多いということと、京都市、神戸市、福岡市をはじめ9政令市が園庭のない認可保育園はゼロ、名古屋市でも9カ所、470人でした。本市では、近隣の公園に4カ所〜5カ所から保育園児が散歩に集ってきてひしめき合いながら遊ぶ姿をよく見かけます。乳幼児が安心して外遊びができる保育環境が必要です。本市が整備に重きを置いている、民間事業者活用型の整備手法では、園庭のある保育園がなかなか整備できない実態があることからも、園庭のある認可保育園の整備にもっと積極的にとりくむべきと考えますが伺います。
教育をめぐる環境改善についてです。
教職員の長時間労働と多忙化改善についてです。
かねてから指摘されていた教員の長時間勤務の悪化ぶりが4月28日に公表された文部科学省の勤務実態調査で明らかになりました。10年前の調査よりも労働時間がさらに増え、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が『過労死ライン』に達していたといっせいに報じられ、「過重な業務 教員悲鳴」「授業や部活時間増が要因」「教員増やしての悲鳴」などの見出しや、教員に密着取材した記事では「21時退勤後も自宅でプリント作成」、午後10時以降まで勤務が多いという教師は「不登校生徒の家庭訪問、教育委員会の調査やスクールカウンセラーら専門スタッフとの調整などの校務のほか運動部の顧問も勤め、放課後や土日には練習や大会がある」とありました。
はじめに本市の教職員の勤務実態調査についてです。
私たちはこの間、本市の教職員の長時間·多忙化の改善を強く求め、退勤時間を自己申告ではなくICカードなどの客観的な記録で把握すべきである。勤務実態調査を行うこと、政令市移管に伴い少人数学級の拡充等を求めました。
先日の文教委員会では、本市も2017年下半期に勤務実態調査を行い、教員の本来的な業務以外の業務を見直し、教員以外の職員や専門スタッフと役割分担する。市立小、中、特別支援学校の全教職員対象にアンケート調査と、20~30校抽出しヒアリング調査を2017年度中に順次実施。2018年度中に分析と実施に向けたヒアリング、2019年度からモデル実施すると報告がありましたが、全校実施まで3年間もかけるというのでは、あまりにも現場の深刻な実態からすれば遅すぎます。もっとスピード感をもって進めるべきです。調査の分析と実施に向けたヒアリングを早急に行ない、19年度には本格実施すべきと考えますが伺います。
教職員の退勤時間の把握をICカードで行なうことについてです。
先の文教委員会では、教員の勤務形態は事務方の職員と異なる部分もあるので、同じICカードを利用した職員情報システムを使って対応が可能かどうかを協議調整するとのことでしたが技術的には可能なはずです。川崎市役所としてICカードの利用について2017年度中に運用開始を検討するとの事ですから、同時期に進めるべきですが伺います。
部活動の適正な運営に向けての取組についてです。
市教委は部活動実態調査を,昨年度11月から1月にかけて52校の中学2年生と全校職員及び保護者(PTA役員)に実施しました。川崎市立中学校部活動検討専門会議は「生徒・教職員の約3割弱が『週7日』活動している等の実態は、生徒のバランスのとれた健全な育成と教職員の勤務負担軽減の観点から、早急に改善すべき課題である」と指摘、市教委は5月に、各中学校に対し、週間の中に少なくても1日の休養日を設定する。学校として各部活動ごとに、週の休養日以外の「ノー部活動デー」を月の予定の中に設定する。朝練習を実施する場合、実施基準を明確にし計画的に行なうことの依頼通知をだしました。『週7日』の課題を解決するには、学校として、又は各部活動ごとに、土曜日か日曜日の休業日を設定することを検討すべきと考えますが伺います。
教育委員会会議の音声データの消去について、教育長に伺います。
2014年8月17日と30日開催の教科用図書の採択に係る教育委員会会議の議事を記録した音声データについて、市民から9月8日(と24日)に開示請求が行われましたが、教育委員会は「音声データは会議録を作成するために補助的に用いたものであり、公文書には当たらない」として、9月22日(と30日)に拒否処分。
開示請求者は11月7日(と11日)に異議申立。教育委員会は教育委員長名で、11月17日に川崎市情報公開・個人情報保護審査会に諮問。教育委員会は「会議録(案)が完成したため2014年10月に音声データを消去した」と説明。
保護審査会は2015年12月22日に答申。「音声データは公文書である」と明確に判断したうえで、「公文書に該当するとの見解があることを知りながら、あえて本件音声データを消去したことは、川崎市情報公開条例および川崎市教育委員会事務局公文書管理規則の趣旨をないがしろにするものとして非難されてしかるべきもの」と付言。
2016年12月22日に、開示請求者は川崎市を被告として訴訟を提起。
2017年5月18日の文教委員会では、教育委員会は「音声データを2014年10月21日と31日に消去したとしていたが、ICレコーダで録音した音声データが庁内共有ファイルサーバ内に2015年9月まで残っていた」と報告。これまで消去したとしていた日時から11ヵ月後まで存在していたことが発覚。また、「そのデータを複写した音声データが庶務課所有のUSBメモリ内に2016年3月25日から30日まで存在していた」事実を報告するとともに、担当課長を停職3ヵ月、担当係長を文書注意という処分を行なったと報告しました。そこで伺います。
2014年9月時点での教育委員会による「音声データは公文書にあたらない」という判断は、誰がどのような理由でいつ下したのか、伺います。市民による開示請求があった時点で、「少なくとも音声データが公文書に当たるという見解がある」と認識できたはずです。開示請求の後、音声データが公文書に当たるかどうかの調査や問い合わせを、なぜ行わなかったのか、伺います。教育委員会事務局公文書管理規則にある、開示請求があったものは「保存期間を一年間延長する」という措置を取らなかった理由も伺います。9月22日と30日に「川崎市教育委員会」の名義で、開示請求拒否通知が出されていますが、音声データが公文書に当たるという見解があると知りながらも「会議録を作成するために使用した電磁的データは会議録を作成するための手段として補助的に用いたものに過ぎないことから、開示の対象とならない」という理由で開示拒否を判断した根拠はどこにあるのか、判断した責任者は誰なのか伺います。
川崎市情報公開条例は、「憲法が保障する基本的人権としての知る権利を実効的に保障することが、市政への市民参加の推進と市民の信頼の確保を図り、公正かつ民主的な市政を確立する上において必要不可欠の前提である」として、その原則を「知る権利は最大限に尊重されなければならない」とし、前文で「非開示とすることができる情報は、必要最小限にとどめられること」としています。情報公開条例の解釈と運用について定めた「情報公開ハンドブック」では、「電磁的記録を含めて対象公文書を広くとらえている」とし、公文書の対象とならないものについて「個人メモや下書き」などを例示するにとどめています。憲法の知る権利やこれまでの解釈と運用のあり方から逸脱して、なぜ音声データを非開示処分としたのか、伺います。
11月7日の異議申立を受けたのち、市情報公開・個人情報保護審査会に対して、教育委員会は教育委員長名で「会議テープは~10月21日・31日に~処分を行った」「そのため…会議テープは、不存在であり、提出することはできない」と回答。開示請求の時点のみならず、保護審査会による審査の最中にも音声データが存在していたのにもかかわらず、「存在していない」と説明していたことになります。音声データの存在の有無をどのように調査し確認したのか、伺います。
教育委員会事務局指導課では、同様に教科用図書選定審議会の音声データの開示請求があったために、審査会の結論が出るまで音声データを保存していたとのことです。同じ教育委員会事務局内部にもかかわらず、条例等に基づき適正なデータの扱いをしていた指導課と異なる対応が、なぜ庶務課では行われていたのか伺います。
先日の文教委員会では、2015年9月14日から17日の間に共有ファイルサーバに保存されていた音声データを消去した、との説明がありました。市情報公開・個人情報保護審査会の答申では、「本審査会が、平成27年9月18日に、審査会事務局に現地調査をさせた」ところ、「本件音声データは存在していないことが確認された」と述べています。審査会が教育委員会に対して、現地調査をする旨の通知を行ったのはいつだったのか、通知したのはどのような内容だったのか、総務企画局長に伺います。
庶務課所有のUSBメモリ内に存在していた音声データについてですが、2015年12月に審査会の「音声データを消去したことは、川崎市情報公開条例および川崎市教育委員会事務局公文書管理規則の趣旨をないがしろにするものとして非難されるべき」という答申を受けてもなお、USBメモリまで含めた音声データの有無にかかわる調査を行わなかった理由について伺います。川崎市情報セキュリティ基準では、USBメモリなど可搬媒体についても情報資産台帳などを作成しデータを適正に取り扱うよう求めていますが、なぜUSBメモリ内の音声データの存在を把握できなかったのか、伺います。
多様な性のあり方に対する施策についてです。
LGBTなど性的マイノリティの課題が人権問題であるとの認識が社会に広がり、性の多様性についての理解や多様な性に対応した整備が広がっています。渋谷区が自治体で初めて同性パートナーシップ条例を制定、政令市でも札幌市が制度を導入するなど各地の自治体で制度導入がすすんでいます。
2006年のジョグジャカルタ原則が採択されたのに続き、2011年6月17日、国連人権理事会で「人権 性的指向・性自認」決議を採択。性的指向と性自認は、あらゆる人に共通する事項であるにもかかわらず、特定の性的指向や性自認についてのみ、否定されたり抑圧されたり差別に曝されたり権利が制限されるのは、人が生まれながらにして自由かつ平等であることに反するということが明確になりました。従って、LGBTの課題解決は「少数者にも権利を認める」ことではなく、「もともと同じ権利がある」ことを前提に人権保障を阻む障害を除去する視点でなされなければなりません。
私たちはこの間、渋谷区、世田谷区、文京区、大阪市淀川区、岡山市、横浜市などの取組みを視察してきました。5月の東京レインボープライドにも参加。市内外の当事者の方たちからお話を聞かせていただきました。7月9日には当事者でもある南和行弁護士を講師に中原区で市議団主催の講演会を企画しているところです。
パートナーシップ宣誓制度を策定した世田谷区がNPO法人ReBitなどの協力で実施した「性的マイノリティ支援のための暮らしと意識に関する実態調査」では約1000通の回答があり、切実な要求が寄せられています。
市町村に望むことでは、「LGBTの子どもたちが差別されない、将来に希望を抱ける教育に取り組んでほしい」が75%、「医療や福祉で法律上の夫婦・家族と同等のサービスや扱いを受けたい」が67.4%、「相談窓口をつくってほしい」が46%、「行政職員や教職員に啓発をしてほしい」が63%、「医療機関・介護施設等の職員に啓発してほしい」が56%、「公営住宅に同性パートナーと住めるようにしてほしい」が56.4%、「民間賃貸住宅へ円滑に入居できるようにしてほしい」が58%など、どれも切実な要望であることが分かります。また、こどもの頃に困ったことでは、「正しい情報の不足」が66.6%、経験したことでは「自殺したいと思った」が49.7%、「自殺未遂」が18.9%で合わせて7割にものぼっています。これは、私たちが当事者の方たちからこの間お聞きした内容と共通しています。
性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会が監修した「性自認及び性的指向の困難解決に向けたガイドライン」が2016年7月に作成されました。当事者のみなさんの切実な要望に基づいた『ガイドライン』を具体化した取り組みが自治体に求められています。
東京都文京区は今年3月、このガイドラインをもとに、「文京区職員・教職員のための性自認および性的指向に関する対応方針」を制定。「私たち職員が様々な人々と接する中で、その困難に気づき、他者への理解を深め、個を尊重する人権の課題として窓口の対応や施策のあり方などについて真摯に捉え直し、これからの区政を進めていく」としています。川崎市においても、こうした立場で取り組むことが必要です。
まず、市民に対する対応についてです。
文京区の指針では、①窓口や電話での応対等について、本人確認は番号等で対応し、氏名を呼ぶ場合も苗字だけにする、必要のない性別欄は削除する、所管事業の見直しとして、現行制度上、親族であることを条件とするものの条件緩和をはかる。行政サービスの申請時などにはパートナーは異性と限らないことも踏まえる。②公共施設の利用は性自認に配慮し、性別区別を廃止した『誰でもトイレ』『誰でも更衣室』をつくる。③災害時の対応として、地域防災計画の見直しや避難所運営マニュアルの作成には専門家や当事者の意見を反映させる。としています。
本市も市営住宅への入居基準や市立病院の治療方針を決める際に同性パートナーを家族と同じ扱いにすることなども含め、このような対応をすべきです。伺います。民間の住宅や病院での扱いの改善を求めて不動産業界、医師会に申し入れるべきです。伺います。さらに、他都市の取組みのように当事者のための電話相談窓口やコミュニティースペースの設置も行なうべきです。伺います。
市職員の職場内の対応についてです。
ガイドラインなどでは、職場内の対応では、①性的指向・性自認に関しての差別的言動は人権侵害であり行わない。トイレや更衣室、宿泊を伴う出張の際の部屋割りや入浴時間などに留意する。②ハラスメントに係る相談体制の整備を図る。③福利厚生制度の利用に際し、同性パートナーの事情を配偶者と同様に配慮するなど制度を検討する。各種制度で法律上の「親族」「女性」とされている規定の検討をはかる。などとされています。川崎市も同様に検討すべきです。伺います。
教育についてです。
ガイドラインでは「教育現場において最も対応が急がれている課題の一つは性的指向や性自認に関する子どもたちのいじめをなくし、自死を予防すること」とあります。日高康晴宝塚大学教授の調査では、同性愛者や両性愛者の男性のの自殺未遂体験者が異性愛者より多いと報告されています。学校教育でLGBTに関する誤りのない情報が提供され、当事者の気持ちに配慮した関わりがされれば、LGBTの子どもたちが自己肯定感を持ち、自分を否定せずに生きる一歩となります。
世田谷区では、2011年度から年間400人以上の教員(世田谷区全体で教員は3千人程度)が性的マイノリティに係る研修を受けています。道徳や家庭科・保健体育などで授業を行ない、教師の自主教材も活用しながら人権教育として取り組んでいました。強く印象に残ったのは、教育委員会が「本当に差別のない社会をつくるためには、子どもたちにLGBTをはじめ人権教育をしっかりと行なうこと。そうすれば10年後、20年後に社会人となった彼らが中心となって差別のない世田谷区にできる」という理念のもとに取り組んでいる姿勢でした。
文京区の指針では、「学校教育の中で一定程度の当事者がいることを前提にした配慮をする。配慮は特別に行なうものでなく、子どもたちそれぞれの個性に応じた1つとして行ない、保育施設、児童館、学童保育、図書館など区の施設に勤める者や民生委員・児童委員、PTAや校庭開放の担当者など子どもたちに接する全ての行政サービスに関係する方々にも周知し、理解を促進していくことが求められる」としています。
そして、学校内の体制として、性的指向・性自認にもとづく差別・いじめに厳しい態度で臨む。相談体制や情報を得られる環境、更衣室やトイレの配慮、教職員の研修。
子どもの発達段階に応じた人権教育の実施、多様なロールモデルを前提とした進路指導を行なう。健康診断や宿泊行事に配慮する。標準服や体育着、水着など申し出によって希望するものの着用を認める。学校への提出書や生徒証、卒業証書など性別記載の必要の有無を見直す。通称使用を検討する。など、きめ細かな対応を求めています。川崎市においても、教育の現場でこのような対応をすべきです。伺います。
多様な性への対応に取り組んでいる自治体の視察や当事者の方たちの聞き取りからわかることは、条例や要綱の作成・宣言が、行政がLGBT、SOGIに対する差別を許さず、支援する立場に立つことを示すことになるということです。そのことが当事者の方たちを励まし、市民の中で差別をしないという共感を広げる契機となり、自治体の施策全体を見直し、個別の施策に反映していくことにもなるということです。
南弁護士は、渋谷区のパートナーシップ条例について、行政という公権力が、性的少数者が社会で生活している事実と、当事者が偏見や差別に曝されている事実を認め、偏見や差別を打破するのは当事者の努力や行動ではなく、むしろ当事者を取り巻く人々や社会の意識が変わることによるべきと宣言するものである」と評価しています。
施策を個別に取り組む前提としてLGBT、SOGI支援宣言を行うことが効果的なわけですから、川崎市も要綱や条例などでこうした宣言を行うべきです。市長に伺います。
障がい者施策についてです。
第2期障害者通所事業所整備計画についてです。特別支援学校を卒業する市内在住の障がい児全員が、卒業後地域で日中活動に参加できるよう、「在宅ゼロ」をかかげて、昨年度から8年間で通所施設の定員を560名拡大するとしています。
定員60名から80名の規模の施設は市有地を活用し、ショートステイや重症心身障がい者を一定程度受け入れるよう整備するという計画ですが、進捗状況について伺います。市有地、県有地などの公有地は何か所候補地があるのか伺います。
重症心身障がい者が利用できる通所施設が少なく、全市でわずか8か所、定員は20名程度にすぎません。「利用を申し込んでも何か所も断られた」と整備への強い要望が上がっています。平間配水所跡地に開設する施設では何人受け入れるのか伺います。既存の施設でも重症心身障がい者の受け入れを拡大すべきですが、伺います。
「在宅ゼロ」を達成するために新卒者は養護学校の進路指導の先生とケースワーカーなどが最後の一人まで必死で進路先を決めてくれます。しかし、就職先や通所施設をやめてしまうと、あとのフォローがないため、結局在宅になってしまう人がいます。卒業前から居住地の障害者相談支援センターとしっかりつなぎ、卒業後何かあったら相談支援センターに行くようにすれば、継続して支援することができます。教育委員会として各区の相談支援センターとの連携について検討すべきと思いますが伺います。現状では、どの相談支援センターもいますぐ毎年数十人の卒業生を受け入れる体制がありません。繰り返し求めているように相談支援センターの箇所数と人員を増やすべきと思いますが、伺います。
高齢者施策についてです。
2018年度から2020年度を計画期間とする「第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定作業に入っていると思いますが、今年3月に作成された平成28年度川崎市高齢者実態調査報告書に沿って伺います。
一般高齢者調査では、南部が高いものの、全体の17%が一人暮らし高齢者ということです。日常生活において金銭的な負担感の大きいものは、社会保険料の負担感が最も多く、食費の割合が3年前の調査と比較して、10ポイント以上上がっているということは高齢者の生活がさらに厳しくなっていることではないでしょうか。
川崎市の介護保険料について、高い、やや高いと感じている人は、約4人に3人でそのポイントも上がっています。サービスを受けたときの自己負担についても、負担は最小限にしてほしい、が7.9ポイント増加しています。
介護保険開始当初から保険料は2倍以上跳ね上がりました。
ここから見えてくるのは、すでに介護保険料の負担は限界にきているということではないでしょうか。介護保険の国庫負担金は原則25%ですが、そのうち5%は調整交付金のため川崎市には2.7%しか来ていません。仮に、調整交付金が5%交付されていたら第一号保険料はどの程度軽減されるのか、伺います。準備基金積立金見込み額は今年度末で19億7000万円ほどですが、全額使ってもいまのままでは、値上げを抑えることは難しいのではと思います。一般財源の投入を含め、あらゆる手段を駆使して、保険料のこれ以上の値上げはすべきではありません。見解を伺います。
高齢者特別乗車証についてです。
4割の一般高齢者が利用していて、そのうちの6割以上の人が「今のままの制度がよい」と回答しています。以前から伺っていますが、特に一般高齢者にとって、外出時の足となり、積極的介護予防、地域経済の活性化にも寄与している高齢者特別乗車証について、負担を増やすなど見直しはやるべきではありません。伺います。
特別養護老人ホームについてです。
要介護3以上の方でも、待機年数が3年以上を超えている高齢者が4割近くいます。しかも3年以上待機している高齢者は2013年度に比較して23.1%から39.8%と16.7ポイントも増えています。入居の申し込みをした理由について、「介護している家族の負担が大きいため」がこれも3年間で14.3ポイント増えています。自宅で待機している高齢者も10.3ポイント増加していることも含めて、特別養護老人ホーム整備の遅れの深刻さを今回の実態調査が如実にあらわしていると思います。
この間、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームなどの住宅への入居が奨励されています。特養ホームの待機者は4月1日現在で4,276人、なるべく早く入居したいは3,156人で、昨年10月より若干減ったものの、この3年間の特養整備は430床でしかありません。待ちきれなくて他の施設に入所された方も多いのでは推測します。しかし、ダントツ多い5割以上の人が入居は「特別養護老人ホーム以外は、考えていない」と回答しています。これらの実態を踏まえて、第7期計画では、思い切った整備数を確保すべきです。うかがいます。
介護保険事業者調査に関連して伺います。
居宅介護サービス事業所と介護保健施設等は「人材の確保が困難」と回答した割合が80%前後で非常に高いという結果でした。居宅介護支援、居宅介護サービス、介護保険施設とも50%前後で、介護報酬が低いと回答し、居宅介護支援では介護報酬に反映されない業務が多いと70%以上の事業所が回答しています。
全国調査と比較して、市内事業所が「職員の採用が困難である」と回答した割合は86.4%と15.6ポイント多く、「離職率が高い」と回答した割合は21.6%と5.8ポイントと高くなっています。さらに、「仕事がきつい」と回答した割合は4.6ポイント高く、「賃金が低い」からと回答した割合は4.3ポイント高いということでした。このことへの事態認識を伺います。
全国調査と比較しても深刻な川崎市の介護人材の確保について、その対策として介護ロボットと外国人介護職の採用などをあげられましたが、採用が困難な理由の第一位は、「賃金が低い」です。まさか、外国人介護職なら賃金は安くても働いてもらえるなど思ってはいないでしょうか。「賃金が安い」ことへの対策は急務です。国はこの4月から介護職員の報酬を1万円引き上げることにしましたが、財源は介護報酬からであり、これは利用者負担につながります。一般財源からの処遇改善を国に要求するとともに、川崎市独自でも処遇改善策を講じるべきではないでしょうか、伺います。
中小企業対策についてです。
住宅リフォーム助成制度の創設についてです。
私たちは地域の建設業の振興と地域経済そのものを活性化させる対策として「住宅リフォーム助成制度」の創設を求めてきました。しかし、市の対応は「本市では耐震改修など目的を明確にした住宅工事等の助成制度を既に実施している」「事業者みずからが継続的に受注を確保できるよう支援する」と、補助制度の導入の必要性を認めようとはしませんでした。しかし、「住宅工事等の助成制度」の活用では、施工事業者を市内事業者に限定できません。国土交通省の「住宅市場調査」では、リフォームしたいと考える方が業者を選ぶ際、情報を得る方法でトップなのが「知人の紹介」ついで「以前から付き合いのある業者」とのことです。業者選考は「実績」を重んじているといえます。しかし、営業力が大手リメーカーに劣る地元事業者には、その「実績」を作るのも大変です。「リフォーム助成制度」が地元の実績作りに効果的であることは、他都市の事例からも分かります。2001年度に「リフォーム助成制度」を立ち上げ、現在も助成を実施している明石市では、制度利用者への追跡調査を行っており、助成制度がリフォームの動機となった割合が62%という結果になりました。もちろん、施行業者は市内に本店や支店などの事業所があるものに限られることから、地元事業者の実績作りに大いに役立ちました。本市では、「住宅相談会」などの取り組みを通じ、仕事確保の機会を広げていますが、「リフォーム助成」は、地域の事業者が地域での実績作りに役立つと考えないか、伺います。
ビジネスマッチング事業について伺います。
大阪市では、大阪市都市型産業振興センターへの委託事業として「ビジネスチャンス倍増プロジェクト」を行っています。これは主に、事業継続を目的というよりも、新たな事業拡大、創業支援を目的にしているものです。現在、約50名の技術系の企業役員OBが「お見合いの仲人役」となるマッチングナビゲーターとなってそれぞれ企業を個別訪問し、優れた技術を把握し、月1回の全てのマッチングナビゲーターが参加してのマッチング会議を行い、2002年からの16年で5300社の訪問、約13000回のマッチング、受注総額約145億円の実績を上げているということです。
川崎市でも、「出張キャラバン隊」事業を行い、専門家が3~4人でも、大きな実績を挙げていますが、大阪市との違いは何といっても、約50名の企業役員OBが、個々に直接企業に電話をかけ、断られることも多いということですが、それでもめげずに訪問し、それぞれの企業の細かい技術まで把握して、きらりと光る技術を見つけ、専門家のネットワークを生かして他の企業とお見合いを行うという点です。今ある出張キャラバン隊事業を発展させ、目利きの企業役員OBを増やして、大阪市に負けない中小企業支援事業にするべきと思いますが、伺います。
さらに大阪市では、展示商談会でも特色がありました。大阪市では、総合展としてではなく、技術テーマを絞った展示会を行っているということです。例えば、「金属加工」「香りの技術」「機能性フィルム」「粉体処理技術」など、非常に限られた分野ですが、逆に、限定された分野だからこそ、冷やかし半分の事業者は集まらず、実際に求めている企業が集まり、商談が進むことが多いとのことです。こうした取り組みについて、今後の参考にすべきと思いますが、見解を伺います。
商店街支援について伺います
私たちが訪問した大阪市は商店街の衰退傾向に歯止めをかけ商業活性化につなげていくため他都市の取り組みを調査していました。活性化に自力で取り組むことが困難な商店街が継続的に活動していけるように、寄り添い型で、しかも3年~5年と市の職員が一体となって、商店街の運営の仕組みづくりなどを支援しています。川崎市内商店街でもかつてAランクでイベントを行い、商業アドバイス事業などでまちづくりについて議論してきた商店街が今では会員減で大変困難な商店街となっています。大阪市で進めているように活性化に自力で取り組むことが困難な商店街に対し実践を行うことを基本に実態把握し運営主体を拡充し育成する継続的な支援を行うべきですが伺います。
正規労働者の雇用を拡大する対策についてです
東京都では、2015年度から2017年度までの3年間で15000人の正社員化を目標に掲げ、総合的な非正規雇用対策を展開していますが、3年目をむかえ実施状況について話しを聞きました。東京都は、正規雇用に転換するための事業を多数実施していますが、その中でも正規雇用転換促進助成金制度が大変好評で、この事業だけで15000人の目標を達成する見込みです。この事業は、社内で非正規雇用者を正社員に転換した企業に対して、国と都から最大100万円支援するものです。2016年度は、目標6500人を大幅に引き上げ、今年の1月末段階で12000人が申請し、6000人が決定したとのことです。2016年度3月末までの正確な数字は出ていないものの、目標はすでに超えているとのことでした。そのため、2017年度では、さらに目標8000人、予算規模は40億円に拡大をしました。約95%の中小企業で勤務する労働者がこの助成制度を利用して非正規から正規雇用に転換をしています。人手不足の解消や従業員研修などによる中小企業の負担軽減につながることから、事業者からも大変喜ばれているとのことでした。本市でも、東京都のように、非正規から正規雇用に転換していけるように、国の事業を利用して上乗せ支給する事業を実施すべきです。伺います。
東芝のリストラ、事業の売却と分社化による雇用と地域経済への影響についてです。
経営再建中の東芝は2017年3月期決算の確定ができず、経営実態の深刻さが明らかになっています。2017年3月期の最終赤字1兆円、債務超過は6200億円にも及ぶ国内製造業で過去最大との報道もあります。東芝の従業員数は3万6600人、グループ会社全体で約15.3万人ですが、経営継続を図るため、既に子会社した東芝メモリの売却と7月以降順次、事業主体を本体から切り離して4事業に分社化して子会社に移すリストラを進めると発表しました。分社化の対象は2万人ともいわれています。
経済労働局によると、市内にある東芝事業所に関係する従業員数は1万4000名、市内に本社を置く東芝グループ企業数は36社、2万8426名。数値はHPからの参考で、下請け企業数、従業員数については把握していないとのことです。今年2月、「東芝の業績悪化による影響に関するアンケート調査」も、回答を得た企業数は119社と1割未満と少なく調査は極めて不十分といわざるを得ません。いまリストラを行なうと発表している訳ですから東芝に直接出向きリストラの動向、実態を把握することや下請け企業まで、正確な雇用人数などの現状を報告させるべきです。また、下請け企業、従業員へ影響への聞き取り調査を行なうなど、リストラによる雇用と地域経済への影響に対し、あらゆる手立てを講ずる必要があります。そのためにも、県労働局と連携し本市に雇用対策本部を設置すべきですが、市長に伺います。
事業再建の名で拠点閉鎖・売却が行なわれ、人員削減、給与削減などで従業員に犠牲が押し付けられています。ルネサスエレクトロニクスでは人員削減と給与・賞与引き下げ、退職強要、退職勧奨しても辞めない従業員を職種が違う部署への配転や仕事を与えない「追い出し部屋」への異動など人権侵害の違法行為で4万8000人の従業員を2万7000人削減しました。リストラでこうした違法行為をしないよう東芝に求めるべきですが、市長に伺います。
市の「働き方改革」について市長に伺います。
3月議会の代表質問で、市職員の長時間労働について質問。36協定で定めている時間外労働時間の上限、年360時間を超えて働く職員は942人、年1000時間を超えた職員は28人、過労死ラインといわれる月80時間を超えた職員は528人もいる実態を告発。この異常な長時間労働は、人口が15万人増えているのに職員が増えていない、職員の増員こそ必要であると訴えました。しかし、3月に市が発表した「川崎市働き方・仕事の進め方改革推進プログラム」の中には「職員の増員」という文言はありませんでした。取り組みとして「水曜日の完全定時退庁の実施」や「午後8時以降の時間外勤務の原則禁止」などが言われています。各部局に短時間で策定が促されたようですが、仕事量はあまり変わらないで、このような取り組みを実施しようとしても、各部署の中間管理職の方も工夫できる範囲を超えているのではないでしょうか。職員は早朝仕事にでてきたり、夜ひそかに仕事をせざるを得ない、そのためひいては健康被害の拡大、サービス残業の拡大にならないか、大変危惧します。伺います。
働き方改革は、労基法からみても、時間外労働を前提とせずに計画を立てることは当然であり、現状どのくらいの仕事量が時間外で行われているのかを把握して、その仕事量に見合った人員計画を立てる必要があります。川崎市の場合、2015年度の時間外労働の総時間数は年間117万時間にもなり、これは職員619人分の労働時間、仕事量に相当します。この時間外労働で補っている619人分の仕事量を今の職員数でどうやって改善するのでしょうか、伺います。改革の項目にある年次休暇を完全取得しようとすれば、約69万時間を誰かがカバーしなければならず、この仕事量は職員364人分に相当します。さらに人口は今後87000人増加し、これに比例して職員を配置すると762人必要になります。これらを合わせると約1750人分の仕事量をカバーするだけの人員が必要です。この仕事量に見合った人員計画を立てる必要があると考えますが伺います。
現在も進行中の武蔵小杉駅周辺のまちづくりの課題について、伺います。
中原区の武蔵小杉駅周辺の人口増による課題については、マスコミにもたびたび登場しています。
まずは武蔵小杉駅の問題です。私たちは、周辺住民のみなさんと共に、何度となく小杉駅のウォッチングを行い、混雑解消を含む駅の安全性の問題、住民にとっての利便性の問題などについて、この6月もJR東日本横浜支社に出向き、要請を行ってきました。ホームドアの問題です。市長も今年1月の新聞インタビューで、ホームドアは早期設置をしてまいりたい、と表明されましたが、JR東日本は、武蔵小杉駅の混雑については。真剣に検討しているとしながら、ラインでの整備を基本にしていて、京浜東北線への設置の後、武蔵小杉駅への設置になるとの回答でした。これではいつになるのか、駅の安全性を考えたら悠長なことは言っていられません。さらに早期設置を要求すべきですが、伺います。新たな改札口の設置について、JR側は混雑緩和、安全性の確保のために検討しなければというものでした。川崎市との検討をすすめていきたい、と話しておりました。横須賀線ホームにもう1本増設することに対しては、いい提案をしていただいた、と話し、相手もあることなので、川崎市との協議をすすめていきたい、と話し、南武線ホームの拡幅については、JRの敷地ということからみれば厳しいという点もあるが、なんとか努力していきたい、と表明されました。
駅の問題は一義的にはJRの責任なのかもしれません。同時にコンパクトなまちづくりといいながら、極端な人口集中のまちづくりを進めてきた川崎市として、積極的にJR側と検討をすすめ、具体的な駅改善の形を示すべきです。そうでなければあまりにも無責任と言わざるを得ません。伺います。
入所施設の希望がかなわなかったこども、保育施設の不足は、中原区がいちばん深刻でした。さらに、住民のみなさんから出る声はこれだけの大きなまちなのに付近に文化施設があまりにも希薄という声です。演劇、音楽、映画など身近に触れられる音響もしっかりした施設がほとんどありません。25万人の区に図書館がひとつしかない、というのも文化水準の向上からみても放置できないことです。今後の教育・文化施設の整備について、見解を伺います。
等々力陸上競技場第2期整備基本方針(案)について、伺います。
増改築案による整備になる方向なので、プールとの複合化は難しい、ということでした。2013年4月の「等々力プールの速やかな代替措置を求める請願」の審査では、プールの意義や必要性について、各委員がこもごも語り、局長も「プールは魅力の向上を図ることができる施設ではないか」と答弁しています。
当時の担当課長は、「第2期整備は基本的には建て替えを前提にした計画と位置づけている」と答弁していました。この請願は全会一致でその趣旨を採択しています。
たしかにこの請願審査のとき、改修案で整備を行えば、プール設置は構造的にむずかしい、と答えていますが、建て替えの方向が示され、これだけ設置の必要性についても議論がなされ、多くの市民は、等々力に代替プールはできるものと期待をしていました。それを今回、増改築案になったから、「プールはできません」では到底納得のいくものではありません。等々力緑地でのプール設置について、改めて伺います。
リニア中央新幹線についてです。
工事説明会での住民意見が反映されないまま、東百合丘、梶ヶ谷両非常口立坑工事が着工されました。29万㎥もの大量の土砂をダンプ52,700台によって運搬する計画ですが、住民から交通監視員を増やしてほしいという要望について応えていません。JR東海に対して、交通監視員を増加するように指導すべきですが対応を伺います。
しかも、工事規模が格段に拡大しており、周辺環境への影響についても明らかにされず、住民からの不安の声が寄せられています。特に、梶ヶ谷地下保守用車両留置施設の構造や工法、影響などが一切説明されておりません。直ちに、説明会を開いて住民に説明するように指導すべきですが、伺います。次に、リニアの工事により、県の矢上川調整池建設工事への影響が懸念されています。具体的な調査検討についてはどうなっているのか、このことに対する住民への説明はどうなっているのか伺います。
川崎市の命の水を運ぶ導水管が5か所でリニアのトンネルと近接交差するということですが、導水管への影響を検証しているのか、導水管に影響はないのか伺います。
川崎港コンテナターミナル事業についてです。
ここ数年、コンテナ取扱量が増加傾向と言いますが、京浜3港の取扱量を比較すると、2015年度実績の割合で、東京港は454万TEUで61%、横浜港は276万TEUで37%、川崎港は約10万TEUで3港全体のようやく1%を超えた程度です。
川崎港利用促進コンテナ貨物補助制度についてです。釜山港や国内他港のコンテナを川崎港の利用に転換するコンテナ船を対象に、40フィートコンテナ=1FEUにつき5千円、1つの申請・年間契約で1社に最大1千万円まで補助する制度として始まり、創設当初2千万円で始まった事業が、今年度予算では1億7千万円まで増額されています。取扱総量に占める補助対象個数の割合は、TEU換算で2012年度の5割程度から、ここ数年は7~8割に増え、補助への依存度が増えています。コンテナ取扱量が増えたといっても、その7~8割には市民の税金による補助金が付いていることが大きな要因です。創設当初の補助対象は新規のコンテナだけでしたが、翌年度以降、コンテナが逃げないようにと、「継続事業」「増加事業」など新たな事業目的が加わり、2015年度には「アジア貿易促進事業」、2017年度からは「リーファー貨物促進事業」「コンテナ・ラウンドユース促進事業」「市内中小企業補助制度」など新たな目的の制度が次つぎ創設されています。港のニーズがあればコンテナ船は来るはずです。横浜市では航路補助制度のみで、コンテナ貨物補助制度は実施していません。川崎市は、際限のない税金投入の仕組みを続ける悪循環となっているコンテナ貨物補助制度は廃止すべきと考えますが、伺います。
議案第73号都市計画道路殿町羽田空港線ほか道路築造工事請負契約の締結についてです。
設計と施工をJVに一括発注する理由として、工期短縮とともに、非常に難易度の高い工事であることを挙げています。多摩川河口干潟の「生態系保持空間」をギリギリに避けた位置に橋脚を建設することなどが難易度を高くする工事とのことです。
国土交通省の多摩川水系河川整備計画で説明されている「生態系保持空間」とは、「全人類的見地から、学術的に価値づけられる、広域的にみた貴重な生態系を保持しようとする空間」とされ、その管理方針は「生態系保持空間」では「人の出入り」も「車両の出入り」も「原則禁止、学術研究目的等は可」とされています。「原則禁止」とは「河川法に基づく乗り入れ規制及び車止め等の物理的規制など、現行法制上で河川管理者がとりうる措置の実施を指す」とされ、保全のために最も厳しい規制をかける空間です。工事の作業では、その空間への出入りを避けるとしても、完成すれば永久にその空間には多摩川河口干潟を利用する鳥類の飛翔に影響する橋が架かり、橋を通る車両の往来が日常化するわけです。
今回の事業は、人や車両の出入りを原則禁止にしてまで保全しなければならないと決めた空間に巨大な橋を架ける計画自体に無理と矛盾があり、全人類的見地からも許されない環境破壊の事業という認識はないのか、市長の見解を伺います。
千鳥町再整備計画についてです。
荷さばき地を拡大整備するとして、2014年度予算ではJA全農の所有地1万4114㎡を15億円で購入し、整備費として約1億4400万円が予算化されました。この用地取得と荷さばき地整備を決めた2013年12月の計画変更案の全体スケジュール案によると、土地売買契約は2014年9月、直後の10月から、その購入した土地で「荷さばき地関連施設整備工事」「荷さばき地整備工事」が始まり、2015年4月から供用開始するとなっていました。その供用開始の予定から2年以上経ちますが、今年4月に現地を視察したところ、その土地は更地の状態で、まだ荷さばき地整備の工事も始まっていない様子でした。2014年度予算では、その土地の買い取りでJA全農への15億円の支払いだけは執行され、荷さばき地の整備費は未執行で、その後2015、2016年度も着工されず、今年度、1億1900万円計上されたとのことです。当該地での荷さばき地整備の緊急性・必要性はなかった、現状で足りているということではないでしょうか、港湾局長の見解を伺います。
東扇島堀込部の埋立土地造成事業についてです。
建設発生土を有効活用することを前提とする堀込部の埋め立て事業ですが、2016年度に約1億700万円をかけて基本設計委託調査を行っています。昨年の3月議会代表質問で港湾局長は、わが党が質問した「140万㎥の埋立土量が来ると裏付けができる具体的な根拠」について「次年度に実施予定の調査結果により明らかになる」と答弁。さらに事業費用の算出根拠についても「1㎥あたり少なくとも1万円から1万2千円程度で、条件により料金は異なる。次年度に予定の調査で総費用を算出し、その全てを転嫁することを想定している」と答弁しています。調査の結果から、総費用、埋立土量140万㎥が来る根拠、埋め立て用発生土の単価、その全てを転嫁できる根拠についてお答えください。
以上で質問を終わります。