市民要求実現へ10人の議員奮戦記~市議会での日本共産党議員質問集
はじめに
2013年10月、前市長の「大型開発優先市政」「市民イジメの『行革』」に対する批判から、自・公・民3党推薦で、盤石といわれた前市長の後継者を破って当選した福田市長。福田市長初の予算となった2014年度当初予算の市税収入は過去最大となり、減債基金から新規借り入れをせずに収支均衡をはかることができ、前市長が常套文句としてきた“財政が厳しい”という言葉は当てはまらない状況となりました。
ところが福田市長は、「行財政改革に関する計画」「新たな総合計画」で、今後大きく市税収入が増加することは見込めないうえ、「少子高齢化のさらなる進行」から、今後毎年度200億円程度の収支不足が見込まれ、本市の財政は「極めて厳しい状況」が続くと断定。市民サービスをゼロベースで見直し、「スクラップ・アンド・ビルド」の徹底を図ると明言。市の幹部でさえ、「行革の大きな種は尽きている」と漏らす中で市長は、障がい者支援施設運営費の市単独加算定率加算10%の半減、「かわさき障がい者110番」の廃止。福祉電話相談事業、高齢者外出支援サービス事業、高齢者住み替え家賃助成事業の見直し・廃止など高齢者施策も削減。公共施設の利用料・使用料の値上げも次々と実行してきました。
川崎市の2018年度一般会計予算は7366億円で4年連続、過去最大。市税収入は前年度比407億円増の3479億円で5年連続過去最高。政令市で2年連続、唯一の普通交付税・不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、市税収入、財政力指数、財政健全化指標、市債残高、減債基金残高のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力です。
2017年度一般会計決算では、減債基金の残高は、政令市平均では市債償還額の4年分ですが、川崎市は11年分にもなり、一人当たりの額は政令市の1.8倍です。これを政令市並みの市債償還額4年分にすると残高は1000億円前後あれば十分であり、他都市よりも川崎市は1200億円も過大となります。10年後にしても、推計では3023億円にもなり市税収入に匹敵する額となり、政令市平均よりも1000億円以上も過大となる金額です。明らかに「ため込みすぎ」です。
市長は減債基金という市の貯金からの借入を理由に「極めて厳しい財政状況が続く」と強弁していますが、川崎市は毎年、市債返還額より多く積み増しをしてきており、2017年度決算でいえば取り崩し額、すなわち返済額よりも243億円も多く積み立てているのです。収支不足とされる分を引いて積み立てれば収支不足も出ず、減債基金から借入れる必要はありません。わざわざ借入という形式をとるのは、市民に収支不足が出ているように見せるためであり、作られた収支不足といわなければなりません。
「財政が厳しい」と強調する一方で、福田市長は、当選半年後の2014年予算に港湾関係だけで特別会計合わせて150億3700万円余の超大型予算を組んだのを皮切りに、この間「国際戦略総合特区制度を利用したライフイノベーション事業」、1メートル1億円以上の「川崎縦貫道路整備事業」、540億円もかかる「臨港道路東扇島水江町線の整備」、最低でも300億円かかる「羽田連絡道路の整備」、さらに「企業が一番活動しやすい川崎に」と国家戦略特区の具体化と、大型事業には前のめり姿勢をあらわにしてきました。これらの大規模事業費は、臨港道路水江町線に540億円を含む川崎港湾計画で約870億円、羽田連絡道路建設に約300億円、東扇島堀込部埋立事業に約240億円、川崎アプローチ線事業に約300億円など、総額約1700億円にものぼります。さらに、カジノ誘致に意欲をみせ、外国の富裕層を呼び込むとして、臨海部に外国人専用の医療ツーリズム病院の設置まで認める構えです。
このように、豊かな財政力を持ち、市民から政令市で最も高い市民税をとっているにもかかわらず、福祉・くらしの予算は抑制し、臨海部の大規模事業への歳出は大幅に増やしてきたのが福田市政の特徴です。市民生活にとって必要性がなく、市財政圧迫の要因になりかねない、不要・不急の大規模事業はやめ、税金の使い方を市民のくらし・福祉を重視する投資型に転換すべきです。
こうした立場から、日本共産党は市長の市政運営と対峙し、奮戦してきました。この冊子は、2015年3月議会から2018年12月議会までの共産党市議会議員団の4年間の議会論戦をまとめたものです。ぜひ、多くの方にお読みいただきたいと願ってやみません。